塩化銀(読み)エンカギン(その他表記)silver chloride

デジタル大辞泉 「塩化銀」の意味・読み・例文・類語

えんか‐ぎん〔エンクワ‐〕【塩化銀】

硝酸銀水溶液塩酸を加えると沈殿する、白色の微細な結晶天然には角銀鉱として産出。光を当てると分解して黒化する。写真感光材料として使用化学式AgCl

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精選版 日本国語大辞典 「塩化銀」の意味・読み・例文・類語

えんか‐ぎんエンクヮ‥【塩化銀】

  1. 〘 名詞 〙 塩素と銀の化合物。化学式 AgCl 白色の微細な結晶。天然には角銀鉱として産出。感光して銀を遊離し黒化する性質があり、写真感光材料に用いる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化銀」の意味・わかりやすい解説

塩化銀
えんかぎん
silver chloride

銀と塩素の化合物。天然に角銀鉱(かくぎんこう)として産する。硝酸銀水溶液に塩酸を加えて得られる無色の結晶。融解すると液体は黄色になる。水にほとんど不溶(0℃で水1リットルに0.70mg溶解)、エタノールエチルアルコール)、希酸にも不溶である。アンモニア水シアン化カリウム水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液などには錯イオンをつくって溶ける。そのほか炭酸アンモニウム塩化アンモニウム、硝酸銀などの濃水溶液にもかなり溶けるが、熱濃硝酸にはよく溶ける。感光性があり、光で分解してしだいに黒化する。このため写真用に広く用いられる。結晶は光伝導性がある。

[中原勝儼]


塩化銀(データノート)
えんかぎんでーたのーと

塩化銀
  AgCl
 式量  143.3
 融点  455℃
 沸点  1557℃
 比重  5.56
 結晶系 立方

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化学辞典 第2版 「塩化銀」の解説

塩化銀
エンカギン
silver chloride

AgCl(143.32).天然には角銀鉱として産出する.硝酸銀の水溶液に塩化物イオンを含む水溶液を加えると,白色の沈殿として得られる.塩化ナトリウム型構造.融点455 ℃,沸点1550 ℃.密度5.56 g cm-3.溶融すると黄色の液体となり,冷却すると透明な固体となる.光伝導性がある.水にほとんど不溶.25 ℃ の飽和水溶液1.93 mg L-1.エタノール,希酸に不溶.濃塩酸,飽和塩化物水溶液には [AgCl2] としてわずかに溶ける.アンモニア水,チオ硫酸ナトリウムおよびシアン化物水溶液に,それぞれ錯イオン [Ag(NH3)2],[Ag(S2O3)2]3-,[Ag(CN)2] になって溶ける.感光性を有するので写真,測光に利用される.そのほか,銀めっき,銀-塩化銀電極,スクリーン印刷,インキ,銀電池,医療にも用いられる.[CAS 7783-90-6]

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改訂新版 世界大百科事典 「塩化銀」の意味・わかりやすい解説

塩化銀 (えんかぎん)
silver chloride

化学式AgCl。天然には角銀鉱として存在する。可溶性の銀塩水溶液に塩化物を加えると沈殿する白色固体。融点455℃,沸点1550℃。結晶構造は岩塩型で,塩化ナトリウムと同じである。融解すると橙色になる。水に対する溶解度1.55mg/l H2O(20℃)。塩酸溶液では[AgCl2]⁻を生成して溶解度が増大する。またアンモニア水,チオ硫酸ナトリウム,シアン化カリウムの溶液にも,それぞれ錯イオンをつくって溶ける。光に対して敏感であり,黒化する。これは金属銀を生ずるためである。有機物,水の存在でこの反応は促進される。この性質は写真工業に広く利用されている。暗所で加熱し薄板に成形することができる。これは赤外領域の光に対し透明であり,しかも水に不溶なので,赤外線吸収測定用セルの窓材料に用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩化銀」の意味・わかりやすい解説

塩化銀
えんかぎん
silver chloride

普通は AgCl をさす。無色の粉末で光に当てると黒変する。比重 5.56,融点 455℃,沸点 1550℃。水に難溶で,溶解度は 10℃で 0.8mg/l ,100℃で 21.7mg/l 。しかし,濃塩酸,アンモニア水にはそれぞれ錯イオン [AgCl2]- ,[Ag(NH3)2]+ をつくって溶ける。またシアン化アルカリ,チオ硫酸塩,炭酸アンモニウムの溶液にも類似の反応で溶ける。写真乳剤,銀メッキ,防腐剤に使われる。

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百科事典マイペディア 「塩化銀」の意味・わかりやすい解説

塩化銀【えんかぎん】

化学式はAgCl。比重5.56,融点455℃,沸点1550℃。硝酸銀溶液に塩化物水溶液を加えると生ずる白色沈殿。アンモニア水,チオ硫酸ナトリウム水溶液などに可溶。天然に角銀鉱として産。感光剤として写真材料に用いる。

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