シトルリン(読み)しとるりん(その他表記)citrulline

デジタル大辞泉 「シトルリン」の意味・読み・例文・類語

シトルリン(citrulline)

アミノ酸の一。ウリ科植物の種子中から単離された。生体内でオルニチンアルギニンとともに、オルニチン回路における尿素合成の代謝中間体を担う。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シトルリン」の意味・わかりやすい解説

シトルリン
しとるりん
citrulline

アミノ酸の一種。ウリ科植物の種子中によく存在する。1914年(大正3)大嶽了、古賀弥太郎によりスイカの絞り汁から初めて分離され、その後1930年(昭和5)、和田光穂によってアミノ酸の一種であることが確かめられた。生体内での役割は、H・A・クレブスがオルニチン回路を発見(1932)し、オルニチン、アルギニンとともに尿素生成の中間体として非常に重要であることを示した。

 オルニチン回路では、おもに肝臓に存在する酵素オルニチントランスカルバミラーゼの作用により、カルバミルリン酸とオルニチンが結合してシトルリンがつくられる。オルニチン回路にかかわる先天性代謝異常症のなかでは、X染色体連鎖のオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症(先天性代謝異常のうちのアミノ酸代謝異常に分類され、アンモニアを代謝する酵素が欠けていること)は比較的多く、高アンモニア血症(肝臓の働きが悪くなり血液中のアンモニア量が多くなること)をおこし、男児では新生児で痙攣(けいれん)、意識障害を呈して死亡することもまれではない。

 またシトルリン血症はシトルリンをアルギニンに変換する酵素のうちの一つアルギノコハク酸合成酵素の欠損によって過剰のシトルリンが血中・尿中に出る症状を示す。また、さまざまな病態が報告されており、高アンモニア血症が伴うと脳に障害がおこることもある。シトルリンは通常、タンパク質中の成分としては存在しないが、アルギニンを合成するための中間体としても重要である。微生物のなかにはシトルリンを分解し、カルバミルリン酸を得、エネルギー源として利用するものもある。

[菊池韶彦]

『バーク他著、入村達郎他監訳『ストライヤー 生化学』第6版(2008・東京化学同人)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シトルリン」の意味・わかりやすい解説

シトルリン
citrulline

アミノ酸の一種。化学式は H2NCONH(CH2)3CH(NH2)COOH 。 (1) L体 スイカのしぼり汁,ウリ科植物の種子中に存在する。L-オルニチン銅塩に尿素を作用させると生じる。柱状晶。分解点 234~237℃。生体内でオルニチン,アルギニンとともに尿素生成サイクルの中間体として働く。 (2) DL体 L-アルギニンをアルカリと煮沸すると生じる。分解点 220~221℃。

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栄養・生化学辞典 「シトルリン」の解説

シトルリン

 C6H13N3O3 (mw175.19).H2NCONH(CH2)3CH(NH2)COOH.アミノ酸の一種で,尿素サイクルの代謝中間体.

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