シバの女王(読み)シバのじょおう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シバの女王」の意味・わかりやすい解説

シバの女王
シバのじょおう
Queen of Sheba

一般に旧約聖書『列王紀上』10章,『歴代志下』9章で言及されるシバ女王をさす。シバは,アラビア半島南西部地域(イエメンマーリブを中心とする地域)の古代名。イスラエルの王ソロモン知恵名声を聞いてソロモンのもとを訪ねたとされるが,この訪問は実際には通商上の交渉を兼ねていたと思われる。『コーラン』(27・22~45)は女王の名をビルキス Bilqisとし,エチオピアではマケダ Makedaと呼ばれている。エチオピアの支配者は女王とソロモンとの間に生まれた者の子孫といわれているが,その史的根拠はまったくない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シバの女王」の意味・わかりやすい解説

シバの女王
しばのじょおう

『旧約聖書』(「列王記」上・10章)の登場人物。紀元前1000年ごろ、シバの女王はイスラエルのソロモン王の名声を聞き、王を表敬訪問した。シバはアラビア半島の南端、いまのイエメン付近に存在した国である。当時ソロモンは、紅海沿岸のエジオン・ゲベルという町に造船所を設けて、この地域での仲介貿易にも広く活動の手を伸ばしていた。女王は多くのことを質問し試そうとしたが、彼はすべてに答えた。彼女はソロモンの知恵の深さとその王国の繁栄を実見し、巨額の財宝を献上した。その贈答品には、香料、金、宝石があがっている。また、シバの北隣の国オフルから金、白檀(びゃくだん)、宝石を積んできた船は、ツロの王ヒラム所有のものであった。ここには、当時の海上貿易の一端をうかがうことができる。

市川 裕]

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