旧約聖書中の伝説上の人物。シバ(サバ)は南アラビアに住んだ民族で,交易によって栄えた。《列王紀》上,第10章は,その国の女王がエルサレムにユダヤの王ソロモンを訪ねた逸話を記す。シバの女王はソロモンの名声を聞き,難問でその知恵を試そうとしたが彼はすべての問いに答えた。また壮麗なソロモンの宮殿を見て彼に心服し,金,香料,宝石を贈って帰国したという。シバの女王は中世以降,美術にあらわされる。特にソロモン訪問の場面は,三博士の参拝と結びつけて,写本画や教会堂装飾などに描かれた。イタリア・ルネサンスでは,ギベルティの《天国の門》浮彫(1437)や,ラファエロのバチカン宮殿フレスコ画(1517-19)などにソロモン訪問の場面が見られ,女王が帰路につく場面を描いたクロード・ロランの《シバの女王の船出》(1648)も知られる。
執筆者:浅野 和生
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『旧約聖書』(「列王記」上・10章)の登場人物。紀元前1000年ごろ、シバの女王はイスラエルのソロモン王の名声を聞き、王を表敬訪問した。シバはアラビア半島の南端、いまのイエメン付近に存在した国である。当時ソロモンは、紅海沿岸のエジオン・ゲベルという町に造船所を設けて、この地域での仲介貿易にも広く活動の手を伸ばしていた。女王は多くのことを質問し試そうとしたが、彼はすべてに答えた。彼女はソロモンの知恵の深さとその王国の繁栄を実見し、巨額の財宝を献上した。その贈答品には、香料、金、宝石があがっている。また、シバの北隣の国オフルから金、白檀(びゃくだん)、宝石を積んできた船は、ツロの王ヒラム所有のものであった。ここには、当時の海上貿易の一端をうかがうことができる。
[市川 裕]
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…人口5万(1992)。聖書に名を残したシバの女王は,南アラビアのサバ王国の女王で,エチオピアに移住した後もサバすなわちシバの名を名のっていたという。アッサブの名はこのサバに由来すると考えられている。…
… アムハラ族はエチオピアの支配層でもあって,誇り高い人々である。彼らはアクスム王国の子孫であり,故ハイレ・セラシエ皇帝はソロモン王とシバの女王の子孫と主張した。彼らは選ばれた民として4世紀にはキリスト教を受容した。…
…ソロモンの時代,この木は神殿の柱に使われようとしたが見捨てられ,小川の橋としてかけられた。シバの女王がソロモン訪問に際しこの橋に出会い,この木の不思議な力を知ってこれを跪拝(きはい)し,その運命をソロモンに警告する。さらに数奇なる運命を経て,キリストが有罪となったとき彼の十字架がこの木より作られた。…
…帝国内にはメソポタミアをエジプトとアラビアに結ぶ国際通商路が縦貫していたため,莫大な関税収益をあげるとともに,エジプトとクエ(キリキア)とシリアを結ぶ仲介貿易や,フェニキア人の協力を得た紅海貿易にも従事した。アラビア半島南端のシバからは女王(シバの女王)が隊商を率いてエルサレムを訪問した。このように活発な商業活動によって巨富を集めたことから,〈ソロモンの栄華〉の伝説が生じた。…
※「シバの女王」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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