精選版 日本国語大辞典 「しゃんす」の意味・読み・例文・類語
しゃんす
〘助動〙 (活用は「しゃんせ・しゃんし・しゃんす・しゃんす・しゃんすれ・しゃんせ」→語誌。「しゃます」の変化した語) 尊敬の意を表わす。江戸時代、上方を中心に、遊里の女性が主に用いた。四段・ナ変動詞の未然形に付き、「見る」「寝る」など語幹が単音節の一・二段活用動詞には「や」を介して付く場合がある。さしゃんす。
※歌舞伎・金岡筆(1690)二「ちとかたってきかさしゃんせ」
※浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)上「おちの人の背中をとんとんとぶたしゃんして」
[語誌](1)「浄・難波丸金鶏‐天満老松町」に「きりきり渡してやらしんし」、「伎・三十石艠始‐二幕」に「やる事はなりませぬ、なぜといはせんせ」など、命令形に「しゃんせ」から変化したものと思われる「しんし」「せんせ」の例が見られる。
(2)成立については、「しゃります」の転訛とする説、語源を「しやる」(町屋の女性語)と想定し、遊女語「しやんす」から「んす」、町屋の女性語「しやります」から「しやます」が各々派生したとし、敬意の文末を示す「んす」が便宜的に作られて添加されたと見る説などがある。
(3)語の消長については、「しゃんす」と「んす」はともに元祿期を中心に、浄瑠璃、歌舞伎脚本集などに見られるが、元祿を過ぎた頃から次第に「しゃんす」は姿を消していき、「んす」が多用される。
(2)成立については、「しゃります」の転訛とする説、語源を「しやる」(町屋の女性語)と想定し、遊女語「しやんす」から「んす」、町屋の女性語「しやります」から「しやます」が各々派生したとし、敬意の文末を示す「んす」が便宜的に作られて添加されたと見る説などがある。
(3)語の消長については、「しゃんす」と「んす」はともに元祿期を中心に、浄瑠璃、歌舞伎脚本集などに見られるが、元祿を過ぎた頃から次第に「しゃんす」は姿を消していき、「んす」が多用される。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報