ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャーンタラクシタ」の意味・わかりやすい解説
シャーンタラクシタ
Śāntarakṣita
[没]787頃
チベットに初めて仏教教団を設立したインド,ナーランダの僧。漢訳名は寂護。瑜伽行中観派の見解を示したとされる。 761年に仏教の本格的導入を決めたティソン・デツェン王に招かれ,チベットに来たが,ポン教徒の抵抗でいったんネパールに戻り,771年頃再びいたり,パドマサンババと協力して 775年にサムエ寺の定礎をつくった。本堂完成の 779年ナーランダから有部の僧を招き,6人の僧に戒を授けて教団を創設し,同時に訳経事業のため梵語を教えはじめ,787年サムエ寺の落慶法要を営み,きたるべきサムエ宗論を予言して没したという。唯識中観両説の調和をはかったその見解は『中観荘厳頌』中に説かれ,広い学識は『真理綱要』に示されている。
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