シュハルト(読み)しゅはると(英語表記)Hugo Schuchardt

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュハルト」の意味・わかりやすい解説

シュハルト
しゅはると
Hugo Schuchardt
(1842―1927)

ドイツの言語学者、ロマンス語学者。1873年からハレ大学教授を務める。青年少壮文法学派の初期の「音韻変化例外はない」という仮説を激しく批判し、言語の変化における類推や個別的現象を重視する。音韻論および言語史中心の研究法に反対し、類縁関係のない言語の比較研究をも積極的に行い、ヨーロッパ語と有色人種の言語との混成語(クレオール人の言語)や人工的世界語にも興味をもつ。言語の機能の研究を重視し、通時的研究に対する共時的研究の方法論確立に寄与し、F・ド・ソシュールの通時的・共時的研究に関する考え方は、両者峻別(しゅんべつ)しすぎると批判する。理論的言語研究の実践的応用(たとえば言語教育)にも関心をもった。

[在間 進 2018年6月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュハルト」の意味・わかりやすい解説

シュハルト
Schuchardt, Hugo Ernst Maria

[生]1842.2.4. ゴータ
[没]1927.4.21. グラーツ
ドイツの言語学者。ハレ,グラーツ各大学教授。ロマンス語派の研究をはじめとして多くの問題に興味を示し,"Der Vokalismus des Vulgärlateins" (3巻,1866~68) をはじめ数多くの論文がある。特に混交語の研究は時代にさきがけたものであった。言語における話し手個人の役割を重視したこと,地理的要因を重視したことは,青年文法学派主流を占めていた当時には他に類をみない特徴で,そのため死後になって注目されている。 L.シュピッツァー編の『シュハルト選集』 Hugo Schuchardt Brevier (1922) で重要な論文をみることができる。

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