シロガシラ(英語表記)Chinese bulbul
Pycnonotus sinensis

改訂新版 世界大百科事典 「シロガシラ」の意味・わかりやすい解説

シロガシラ (白頭)
Chinese bulbul
Pycnonotus sinensis

スズメ目ヒヨドリ科の鳥。全長約19cm。上面は緑灰色,下面が白く,腹部に黄色の縦斑がある。頭部は黒く,眼の後方から後頭にかけては白色で,ほおに小さな白斑がある。中国南部,海南島,インドシナ半島に分布する。日本では八重山諸島留鳥として生息している。眼の後方の白色部の大きさは地方によって異なる。インドシナ半島では白色部がなく,中国南部と台湾では白色部が大きいが日本のものは小さい。二次林,林縁,街路樹の多い市街地の公園や庭園すみフィー,フィー,フィーと鳴く。繁殖期には,チャプ,チャプ,ジープ,チャプル,チャプと高らかな声でさえずり,中国や台湾ではさえずりを楽しむために飼鳥にされている。樹上の枝に浅いわん形の巣をかけ,1腹4~5個の卵を産む。春から夏の間は昆虫類を主食としているが,秋から冬にかけては群れをつくり,騒々しく鳴きたてながら,漿果(しようか)や種子を食べる。八重山諸島では人家近くに生息し,林縁で繁殖している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロガシラ」の意味・わかりやすい解説

シロガシラ
Pycnonotus sinensis; light-vented bulbul

スズメ目ヒヨドリ科。全長 18~19cm。頭部は黒く,眼の後方と後頭に白い羽毛がある。背はオリーブ褐色。喉から腹は白色。東アジア中部,南部,ハイナン(海南)島タイワン(台湾)インドシナ半島北部に分布する。日本では八重山諸島留鳥として生息するほか,沖縄島に台湾から人為的に移入されたと思われる亜種不明の鳥が野生化している。台湾では普通の飼鳥で,ときどき日本にも輸入される。村落付近の低木林や耕地にすみ,「ぴょ,ぴょ,るー」と聞こえる美しい声でさえずる(→さえずり)。沖縄島では農作物に被害を与え,駆除も行なわれるほど増えている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロガシラ」の意味・わかりやすい解説

シロガシラ
しろがしら / 白頭
Chinese bulbul
[学] Pycnonotus sinensis

鳥綱スズメ目ヒヨドリ科の鳥。同科シロガシラ属35種中の1種。全長約18センチメートル。前頭部は黒色、目の後方から後頭に幅広い環状の白帯がある。背はオリーブ色、下面は淡黄緑褐色をしている。中国の長江揚子江(ようすこう))付近以南、ベトナム北部までに分布し、日本では少数が八重山(やえやま)列島に生息する。これを亜種ヤエヤマシロガシラとよぶ学者もいるが、日本鳥学会はシロガシラとしている。大陸産亜種、台湾産亜種、八重山産亜種の順に小形となる。村落近くの林にすみ、果実や昆虫を食べる。飼い鳥として輸入されたものを飼鳥家仲間はペタコとよぶ。

[坂根 干]

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