シロスジカミキリ(読み)しろすじかみきり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロスジカミキリ」の意味・わかりやすい解説

シロスジカミキリ
しろすじかみきり / 白条天牛

昆虫綱甲虫カミキリムシ科フトカミキリ亜科に属する昆虫。本州、四国、九州、奄美大島(あまみおおしま)などのほか朝鮮半島、台湾、中国にも分布する。体長45~52ミリメートル。日本最大のカミキリムシである。体表は灰色の短毛で覆われ、上ばねに淡黄色(死後白くなる)の斑紋(はんもん)があり、体の側面に同色の縦条がある。平地から低山地に多く、成虫は6~8月に現れ、クリクヌギカシシイなどの木におり、雌はそれらの幹に横列にかみ傷をつけて1卵ずつ産み付ける。幼虫は樹皮下から材部に孔(あな)をあけて食害し、木くずを孔から出す。3年目の秋に蛹(さなぎ)から成虫になって越冬し、翌年外に出る。成虫はよく飛んで樹液に集まり、また灯火にくることもある。長い産卵管で有名なウマノオバチはこの幼虫に産卵して寄生する。卵にはトビコバチの一種が寄生するという。

[中根猛彦]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シロスジカミキリ」の意味・わかりやすい解説

シロスジカミキリ
Batocera lineolata

鞘翅目カミキリムシ科。体長 40~54mmの大型のカミキリムシ。体は黒色で,大部分が灰色の微毛におおわれる。前胸背中央部の2縦条,小楯板,上翅のやや不規則な斑点および短い条線は,生時は黄色であるが,死後日がたつと白色になる。中胸背両側にそれぞれ鋭い円錐形の棘状突起がある。上翅基部には黒色の顆粒を密布する。幼虫は鉄砲虫と呼ばれ,シイ,カシ,クリ,ナラなどの樹幹を穿孔する大害虫である。また幼虫にはウマノオバチが寄生する。本州,四国,九州,朝鮮,中国,台湾に分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「シロスジカミキリ」の解説

シロスジカミキリ
学名:Batocera lineolata

種名 / シロスジカミキリ
目名科名 / コウチュウ目|カミキリムシ科
解説 / コナラ、クヌギなどの枝に集まります。
体の大きさ / 44~55mm
分布 / 本州~奄美群島
成虫出現期 / 6~8月
幼虫の食べ物 / ブナ類、ヤナギ類など

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百科事典マイペディア 「シロスジカミキリ」の意味・わかりやすい解説

シロスジカミキリ

カミキリムシ科の甲虫の1種。体長50mm内外,灰黒色または灰褐色の地に黄または白斑がある。北海道を除く日本,朝鮮,中国,台湾に分布。幼虫はテッポウムシ(鉄砲虫)といい,ナラ,クヌギ,カシ,クリなどの幹に食い入る。樹幹中で数年を過ごし,晩秋に成虫になりそのまま越冬,翌年の初夏に外界に現れる。

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世界大百科事典(旧版)内のシロスジカミキリの言及

【カミキリムシ】より

…ヒゲナガカミキリの雄の触角は13cmにも達し,日本産の種ではもっとも長い。体長は2mm以下のものから15cmを超えるものまで見られ,日本産の種ではシロスジカミキリ(イラスト)が52mmに達し最大。シロスジカミキリの幼虫はクヌギ類の幹に穿孔(せんこう)する。…

※「シロスジカミキリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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