日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンパー」の意味・わかりやすい解説
シンパー
しんぱー
Andreas Franz Wilhelm Schimper
(1856―1901)
ドイツの植物地理学者。ストラスブール(シュトラスブルク)に生まれる。父も植物学者であり、ほかに同じ家系から3人の著名な植物学者が出ている。ストラスブール大学で学位を得たあと、ド・バリAnton de Bary(1831―1888)の研究室に入り、植物の研究に専念、初期には植物の細胞の中でデンプン粒の形成される過程を追究した。1882年、ボン大学の植物学研究所へ移り、16年半を過ごした。熱帯を中心にした長期の海外旅行を5回にわたって行い、植物の生存と環境との関係を生理学的に基礎づけようとする学風を深めた。1898年に始まったドイツ深海探検隊に参加。バルディビア号に乗船して大西洋、インド洋、南氷洋を調査したが、その間に感染した悪性マラリアが悪化し、バーゼルで不帰の客となった。主著は『生理学に基づく植物地理学』Pflanzengeographie auf physiologischer Grundlage(1898)。
[渋谷寿夫]