日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジアセチル」の意味・わかりやすい解説
ジアセチル
じあせちる
diacetyl
ビアセチル、2,3-ブタンジオンともよばれ、脂肪族α(アルファ)-ジケトンの代表である。ベチバ油、イリス油、アンゲリカ根油などの植物精油に含まれている。メチルエチルケトンを二酸化セレンで酸化すると生成する。特有なにおいをもつ黄色の液体。エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合い、水にもよく溶ける。薄めるとバターに似たにおいを発するので、マーガリンの香料に用いる。ジアセチルのジオキシムをジメチルグリオキシムといい、ニッケルの分析試薬としての用途をもつ。
[廣田 穰]
『井上喬著『ジアセチル――発酵飲食品製造のキーテクノロジー』(2001・幸書房)』