日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジメチルグリオキシム」の意味・わかりやすい解説
ジメチルグリオキシム
じめちるぐりおきしむ
dimethylglyoxime
金属イオン用分析試薬の一つ。ジアセチルジオキシムともいう。無色の粉末性結晶。水には不溶、エタノール(エチルアルコール)、エーテルには溶ける。1905年にチュガエフL. Chugaev(生没年未詳)により、ニッケルイオンの比色定性、定量分析に用いられた。有機試薬を分析に用いる先駆となった化合物である。ニッケル、コバルト、銅、鉄などの検出および比色定量用、パラジウムの検出および沈殿用の試薬として広く使われている。たとえば、ニッケルイオンはジメチルグリオキシムと1対2の割合で結合して、紅色の水に不溶な錯体をつくる。この錯体はクロロホルムにはよく溶けるので、クロロホルムの溶液としてニッケルの比色定量に利用する。
[務台 潔]