(読み)カモ

デジタル大辞泉 「鴨」の意味・読み・例文・類語

かも【×鴨/×鳧】

カモ目カモ科の鳥のうち、ガンハクチョウ類以外の総称。中・小形の水鳥。先の丸い平らなくちばしをもち、指に水かきがある。一般に雄の羽色は派手で、雌は褐色。日本には秋に渡ってきてつがいをつくり、春に北方の繁殖地に戻るものが多い。マガモコガモオナガガモ留鳥カルガモなどは水面で餌をとり、キンクロハジロなどは潜って餌をとる。かもどり。あしがも。 冬》「海くれて―の声ほのかに白し/芭蕉
利用しやすい相手。負かしやすい相手。「いい―にされる」
[類語]真鴨軽鴨夏鴨小鴨鴛鴦おしどり鵞鳥家鴨あひる合鴨

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精選版 日本国語大辞典 「鴨」の意味・読み・例文・類語

かも【鴨・鳧】

  1. 〘 名詞 〙
  2. カモ科の鳥のうち、比較的小形の水鳥の総称。全長四〇~六〇センチメートルぐらいで、一般に雄の羽色の方が美しい。あしは短く、指の間に水かきがあって巧みに泳ぐ。くちばしは扁平で柔らかい皮膚でおおわれ、感覚が鋭敏で、ふちにはくしの歯状の小板が並ぶ。河海、湖沼にすみ、淡水ガモと海ガモとに区別される。前者にはマガモ、カルガモ、後者にはスズガモ、クロガモなどがある。日本には冬季に北地から渡来し、春に北地に帰るものが多く、夏季ふつうに見られるのは、カルガモとオシドリのみである。肉は美味で、カモ汁、カモなべなどにする。マガモの飼育変種にアヒルがあり、アヒル(家鴨)に対し野(生)鴨ともいわれる。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「沖つ鳥 加毛(カモ)(ど)く島に わが率寝し 妹は忘れじ 世の尽(ことごと)に」(出典:古事記(712)上・歌謡)
    2. [その他の文献]〔十巻本和名抄(934頃)〕
    3. 「海くれて鴨のこゑほのかに白し」(出典:俳諧・野ざらし紀行(1685‐86頃))
  3. よいえもの。うまうまと利益をせしめることができるような相手。勝負ごと、かけごと、あるいは詐欺(さぎ)などで、食いものにするのに都合のよい相手。「かもにする」
    1. [初出の実例]「近年はこずいかうで能(よい)(カモ)もかからぬ故」(出典:浄瑠璃神霊矢口渡(1770)四)
  4. かも(鴨)の味」の略。
    1. [初出の実例]「伯母と叔母の目をぬき鴨はつがふ也」(出典:雑俳・柳多留‐四五(1808))
  5. ( 「くろがも(黒鴨)」の略 ) 下男。
    1. [初出の実例]「飯たきを鴨に仕立る枩の内」(出典:雑俳・柳多留‐一一(1776))

鴨の補助注記

中国では、「鳧」を野鴨、すなわちカモとし、「鴨」を家鴨、すなわちアヒルとしている。

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普及版 字通 「鴨」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 16画

[字音] オウ(アフ
[字訓] あひる・かも

[説文解字]

[字形] 形声
声符は甲(こう)。〔説文新附〕四上に「鶩(ぼく)なり」とあり、あひるをいう。わが国ではかもの意に用い、〔万葉〕の表記助詞の「かも」にこの字を充てている。

[訓義]
1. あひる。
2. かも。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕鴨 加利(かり)、、宇豆良(うづら)〔和名抄〕鴨 本に云ふ、鴨、加毛乃久曾(かものくそ)〔字鏡〕鴨 カモ・ウヅラ・カリ・ミヅトリ

[熟語]
・鴨脚・鴨黄・鴨子・鴨雛鴨蛋・鴨通・鴨頭・鴨桃鴨炉・鴨梨
[下接語]
烏鴨・家鴨・画鴨・鵞鴨・寒鴨・戯鴨・驚鴨・金鴨・群鴨・鴨・江鴨・小鴨・水鴨・睡鴨・青鴨・雪鴨・双鴨・闘鴨・白鴨・汎鴨・浮鴨・眠鴨・野鴨・養鴨・緑鴨・

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鴨」の解説

鴨 (カモ)

動物。カモ科に属する鳥の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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