ジュウイチ(読み)じゅういち(英語表記)Horsfield's hawk cuckoo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジュウイチ」の意味・わかりやすい解説

ジュウイチ
Hierococcyx hyperythrus; rufous hawk-cuckoo

カッコウ目カッコウ科。慈悲心鳥(じひしんちょう)ともいう。かつて 4亜種に分けられていたが,それぞれ独立した種として分類され,本種はキタジュウイチと呼ばれることもある。全長 32cm。上面はほぼ一様に青灰色で,普通後頸に白い帯模様がある。尾は灰褐色で,5本の黒色横帯があり,先端が赤褐色。下面は腮(さい。あご)が淡黒色,喉が白色,胸から腹は淡赤褐色であるが,下方にいくほど淡色となる。アジア東部に分布し,北方のものは南へ渡って越冬する。日本には夏鳥(→渡り鳥)として 5月上旬に渡来し,山地森林で繁殖するが,その数はカッコウホトトギスほど多くない。雄は高い声で「じゅういち,じゅういち」と鳴く。オオルリコルリルリビタキなどに托卵する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュウイチ」の意味・わかりやすい解説

ジュウイチ
じゅういち / 十一
Horsfield's hawk cuckoo
[学] Cuculus fugax

鳥綱ホトトギス目ホトトギス科の鳥。全長約32センチメートル、体上面は黒灰色、下面は淡赤褐色をしている。アジア東部の温帯域から熱帯域に分布しており、日本には夏鳥として北海道から九州までの各地に渡来し繁殖する。本州では標高1000メートル前後の山地森林に多く、明るい所にはあまり出てこない。毛虫などをとって食べる。鳴き声は「ジュウイチー、ジュウイチー」と聞こえ、名はこの声に由来している。また、慈悲心鳥(じひしんちょう)の名もあるが、これも鳴き声を「ジヒシン」と聞きなしたことに由来する。カッコウやホトトギスと同様、自分では巣をつくって繁殖せず、ほかの種の鳥に托卵(たくらん)する。托卵するおもな相手はコルリ、オオルリ、ルリビタキなどで、コルリと同じ青い卵を産む。

[樋口広芳]


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