改訂新版 世界大百科事典 「オオルリ」の意味・わかりやすい解説
オオルリ
blue-and-white flycatcher
Cyanoptila cyanomelana
スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約17cm,雄は体の上面がるり色で,胸と脇は黒く,腹は白い。頭頂部の光沢ある明るいるり色がとくに美しい。雌は全体に褐色でじみ。アジア東部の亜寒帯から温帯域で繁殖し,日本では北海道から九州までの各地で繁殖する。秋・冬季には東南アジア方面に渡って越冬する。渓流沿いのよく茂った森林にすみ,樹上から空中へと飛び立って飛翔(ひしよう)中の昆虫をとらえて食べる。雄はこずえにとまってよくさえずる。さえずりはピピーピーピー,ピックギチギチと聞こえ,とても美しい。つがいの雌雄はある範囲のテリトリーを占有し,その中で繁殖する。巣は崖地の地上にコケを使ってつくられ,汚白色の地に黄褐色の不鮮明な斑点のある卵を3~5個産みこむ。抱卵は雌だけが行い,育雛(いくすう)は雌雄ともに行う。巣のそばに外敵が近づいたときなどには,雌も雄に似た声でさえずることがある。これは警戒と威嚇の役割をもっているらしい。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報