ジョアンビル(読み)じょあんびる(英語表記)Jean de Joinville

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジョアンビル」の意味・わかりやすい解説

ジョアンビル
じょあんびる
Jean de Joinville
(1224?―1317)

フランスの年代記作家。シャンパーニュ伯の家令の家に生まれる。父の死後ルイ9世に仕え第7回十字軍(1248~1254)に参加。エジプト国王とともに一時捕虜になる。国王の親友としてつねに傍らにあったが、最後の十字軍(第8回、1270)には参加しなかった。晩年80歳を超えてからジャンヌ・ド・ナバルの要請で『聖王ルイ伝(ジョアンビル殿の回想録)』Mémoiresを書いた(1305~1309)。これは模範的キリスト教徒としてのルイ9世の言行を活写し、時代の雰囲気を伝える貴重な文献の一つとなっている。

[安斎和雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジョアンビル」の意味・わかりやすい解説

ジョアンビル
Joinville, Jean, Sire de

[生]1224頃
[没]1317.12.24. ジョアンビル
フランス,ジョアンビルの領主,年代記作者。フランス王ルイ9世に従って第7次十字軍に出征し,ともに捕虜となるなど帰国まで王と行動をともにした (1248~54) 。『聖ルイ歴史』 Histoire de Saint Louisはこの間の回想中心にした同時代史で,第7次十字軍およびルイ9世治世の貴重な史料である。

ジョアンビル
Joinville, François-Ferdinand-Philippe-Louis-Marie d'Orléans, Prince de

[生]1818.8.14. ヌイイ
[没]1900.6.16. パリ
フランスの海軍軍人。フランス王ルイ・フィリップの第3子。 1840年ナポレオン1世の遺骸セントヘレナからフランスに持帰った。 48年二月革命の際イギリスに逃れ,のちアメリカに渡ったが 70年帰国。 71年国民議会議員にオートマルヌ県から選出された。

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