スガモ(読み)すがも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スガモ」の意味・わかりやすい解説

スガモ
すがも
[学] Phyllospadix iwatensis Makino

アマモ科(APG分類:アマモ科)の多年草。海岸の岩礁地帯の海中に生える。長さ4~5メートルになる太い匍匐(ほふく)茎を伸ばして広がり群生する。茎の基部には黄褐色の古い葉の繊維が残る。節ごとに長さ4センチメートルほどのじょうぶな2本の根を出して岩に固着する。葉は線形で2列互生し、長さ1~1.5メートル、幅3~5ミリメートル、基部に長さ18~26センチメートルの開いた葉鞘(ようしょう)があり、先は円く、上縁に微鋸歯(きょし)があり、5本の平行脈がある。花期は3~4月、肉穂花序につく。雌雄異株。肉穂花序は包葉と合着し、先に細い葉身がある開いた葉鞘に包まれ、広線形で長さ約4センチメートル。雄花序は2個の花室に分かれた無柄の雄しべのみからなる雄花が2列に並ぶ。雌花序は1個の仮雄花と1個の雌しべからなる花が2列に並ぶ。果実は黄褐色、倒心臓状矢じり形で長さ約4ミリメートル、球形の1個の種子がある。果実は熟すと黒色となる。本州の千葉県犬吠埼(いぬぼうさき)と秋田県男鹿(おが)半島以北、北海道、千島樺太(からふと)、中国北部、朝鮮半島に分布する。

[大滝末男 2018年10月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スガモ」の意味・わかりやすい解説

スガモ(菅藻)
スガモ
Phyllospadix iwatensis

ヒルムシロ科の多年草。東アジアの北部の温帯に分布し,海水中1~8mの深さの岩上に生える。日本では本州北部より北の海岸にみられる。エビアマモ P. japonicaに似ているが,葉の長さは 1m以上で幅も広く,葉の先端がくぼまず円頭をなし,古い葉の基部が淡黄褐色の繊維となって残ったり,花序の先端が2裂するなどの点で区別される。花は3月に咲き,地下茎から出た肉穂花序に花被のない花が多数つく。雌雄異株で,雄花は花糸のない葯 (やく) だけのおしべ1本,雌花には1個の子房がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android