日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタッブズ」の意味・わかりやすい解説
スタッブズ(William Stubbs)
すたっぶず
William Stubbs
(1825―1901)
イギリスの歴史家。オックスフォード大学教授として中世国制史の体系的研究を創始したことで知られる。父は弁護士で、彼は研究者の道を進むとともに聖職者となり、司祭に叙せられたあと、チェスターとオックスフォードの司教を歴任した。主著『イギリス国制史の起源と発展』三巻のほか、「中世史料集」Rolls Series95巻253冊のうち、九巻19冊を担当した。これまで文学の一分野にとどまっていたイギリスの歴史学が近代的研究法に基づく学問に転換したのは、スタッブズの功績であるといわれる。もっとも、その歴史観は19世紀の自由主義を基調とし、現代では批判と修正を免れないが、いまなお彼の研究は価値を失っていない。
[松垣 裕]
スタッブズ(George Stubbs)
すたっぶず
George Stubbs
(1724―1806)
イギリスの画家。リバプール生まれ。初め肖像画で身をたてながら解剖学を研究。1756~58年リンカーンシャーで馬の解剖に専念し、この経験をもとに『馬の解剖学』(1766刊)が書かれた。60年ごろロンドンに移り住むと、盛んに競走馬や狩猟図を描き、たちまち動物画家として人気を博した。解剖学に裏づけられた正確な描写と、柔和でこくのある色彩による詩情豊かな作品は、彼を単なる「馬の画家」にとどまらぬ18世紀最高の画家の1人にしている。また、ライオンに襲われる馬を描いた一連の作品は、後のロマン派画家たちのテーマを先取りしたものである。
[谷田博行]