スタッブズ(その他表記)William Stubbs

改訂新版 世界大百科事典 「スタッブズ」の意味・わかりやすい解説

スタッブズ
William Stubbs
生没年:1825-1901

イギリスの中世史家。ヨークシャー,ネアズバラ市生れ。オックスフォード大学クライス・チャーチ・カレッジ卒業。同大トリニティ・カレッジのフェローを経て,1850年エセックス州ネーブストック村の教区牧師となる。主教の活動のかたわら,大英博物館,各大聖堂に残る中世イギリス史の史料渉猟,膨大な基礎知識を得る。66年,大方の予想に反し,オックスフォード大学近代史欽定講座担当教授に選ばれる。就任講演において,厳正な史料批判に基づく歴史学の成立を主張し,イギリスにおける近代的な歴史学確立に決定的な足跡を残す。現代でも権威をもつ《イギリス中世国制史史料選》(1870)を出し,次いで主著《イギリス国制史》3巻(1873-78)を著し,史学研究の方向を示した。また国家的史料編集事業の成果《ロールズ・シリーズ》にも9巻19冊にのぼる史料の校訂を行う。84年チェスター主教,88年オックスフォード主教。
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スタッブズ
George Stubbs
生没年:1724-1806

イギリスの動物画家リバプールに生まれ,肖像画家として出発したが,1754年にローマに行き,〈自然芸術に優る〉というかねてからの持論の正しさを再確認し,古代イタリア美術の研究よりも自然観察が重要という絵画観を固めた。帰国後60年代にはロンドンで,自ら行った馬の解剖の経験に基づいて《馬の解剖学》(1766)を出版し,また動物画家としての人気を博した。彼の描く馬は一頭ごとの個性が表現されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタッブズ」の意味・わかりやすい解説

スタッブズ(William Stubbs)
すたっぶず
William Stubbs
(1825―1901)

イギリスの歴史家。オックスフォード大学教授として中世国制史の体系的研究を創始したことで知られる。父は弁護士で、彼は研究者の道を進むとともに聖職者となり、司祭に叙せられたあと、チェスターとオックスフォードの司教を歴任した。主著『イギリス国制史の起源と発展』三巻のほか、「中世史料集」Rolls Series95巻253冊のうち、九巻19冊を担当した。これまで文学の一分野にとどまっていたイギリスの歴史学が近代的研究法に基づく学問に転換したのは、スタッブズの功績であるといわれる。もっとも、その歴史観は19世紀の自由主義を基調とし、現代では批判と修正を免れないが、いまなお彼の研究は価値を失っていない。

[松垣 裕]


スタッブズ(George Stubbs)
すたっぶず
George Stubbs
(1724―1806)

イギリスの画家。リバプール生まれ。初め肖像画で身をたてながら解剖学を研究。1756~1758年、リンカーンシャーで馬の解剖に専念し、この経験をもとに『馬の解剖学』(1766年刊)が書かれた。1760年ごろロンドンに移り住むと、盛んに競走馬や狩猟図を描き、たちまち動物画家として人気を博した。解剖学に裏づけられた正確な描写と、柔和でこくのある色彩による詩情豊かな作品は、彼を単なる「馬の画家」にとどまらぬ18世紀最高の画家の一人にしている。また、ライオンに襲われる馬を描いた一連の作品は、後のロマン派画家たちのテーマを先取りしたものである。

[谷田博行]

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百科事典マイペディア 「スタッブズ」の意味・わかりやすい解説

スタッブズ

英国の中世史学者。オックスフォード大学卒業後いったんは同大学トリニティ・カレッジのフェローとなったが,1850年聖職につき,教区牧師を務めるかたわら各地に残る中世史料を発掘した。1866年オックスフォード大学の近代史欽定講座教授となり,厳正な史料批判に基づく歴史学を主張して,英国における近代的な歴史学確立の門を開いた。主著《イギリス国制史》(全3巻,1873年−1878年)のほか,国家的な史料編纂プロジェクトである《ロールズ・シリーズ》の刊行に参加して,みずからも史料の校訂にあたった。晩年は聖職に復帰し,1884年にチェスター,1888年にオックスフォードの主教となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタッブズ」の意味・わかりやすい解説

スタッブズ
Stubbs, (Bishop)William

[生]1825.6.21. ヨークシャー
[没]1901.4.22. オックスフォード近郊
イギリスの聖職者,歴史家。 1866~84年オックスフォード大学の歴史学教授となり,イギリス中世国制史研究の基礎をつくった。のちチェスター主教 (1884) ,オックスフォード主教 (89) を歴任。主要業績はイギリス中世の国制,ことに中世議会史,政治構造,行政機構および中世諸史料の研究。主著『イギリス国制史』 The Constitutional History of England (3巻,74~78) 。

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