スナイダー(読み)すないだー(英語表記)Gary Snyder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スナイダー」の意味・わかりやすい解説

スナイダー
すないだー
Gary Snyder
(1930― )

アメリカの詩人サンフランシスコ出身。オレゴン州のリード・カレッジで人類学を学び、バークリーカリフォルニア大学では日本語・中国語を修めた。1950年代のビート運動にギンズバーグやケロアックとともに参加し、禅への興味から1956年(昭和31)に来日して京都で参禅した。詩集『割りぐり』(1959)以来、ピュリッツァー賞を受けた『亀(かめ)の島』(1974)まで、一貫して自然と人間の回復を求めている。彼のエコロジカルな態度は長編詩集『終わりなき山河』(1996)でも呈示されていて、現代のアメリカの新しいエコロジー運動のリーダーと目されている。彼の姿勢にはアメリカの自然崇拝ばかりでなく、東洋の禅にたいする深い理解も含まれており、98年に「仏教伝道文化賞」を受賞した。また2000年(平成12)10月には曹洞宗(そうとうしゅう)大本山永平寺(えいへいじ)の文化財団に招聘(しょうへい)されて来日し、駒沢大学で「ゲーリー・スナイダー 禅を詩(うた)う」の朗読と対談の会を催している。

[新倉俊一]

『ナナオ・サカキ訳『対訳 亀の島』(1991・山口書店)』『重松宗育ほか訳『野性の実践』(2000・山と渓谷社)』『山里勝己ほか訳『惑星の未来を想像する者たちへ』(2000・山と渓谷社)』『山里勝己ほか訳『終わりなき山河』(2002・思潮社)』『金関寿夫・加藤幸子訳『スナイダー詩集――ノー・ネイチャー』新装版(2002・思潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スナイダー」の意味・わかりやすい解説

スナイダー
Snyder, Gary

[生]1930.5.8. カリフォルニア,サンフランシスコ
アメリカ合衆国の詩人。フルネーム Gary Sherman Snyder。1951年オレゴン州ポートランドのリード・カレッジ卒業後,1952年までインディアナ大学で人類学を学び,サンフランシスコに移住後はビート・ジェネレーションを代表する作家ジャック・ケルアック,アレン・ギンズバーグ親交を結ぶ。1955年サンフランシスコのシックス・ギャラリーでのギンズバーグによる『吠える』Howlの歴史的な初の朗読会に立ち会った。1956年日本を訪れ,仏教のを学ぶ。1986年カリフォルニア大学デービス校で教鞭をとり,2002年名誉教授で引退。スナイダーの初期の詩は日々の生活の神話的,宗教的経験を織り込んだもので,その自由な様式はウォルト・ホイットマンやエズラ・パウンド,日本の俳句からの影響を示している。また『奥の国』The Back Country(1967),"Regarding Wave"(1969)においては東洋哲学への傾倒が反映されている。1975年『亀の島』Turtle Island(1974)でピュリッツァー賞受賞。そのほかの詩集に『ノー・ネイチャー』No Nature(1992),『終わりなき山河』Mountains and Rivers Without End(1996,ボーリンゲン賞),『絶頂の危うさ』Danger on Peaks(2004)。また,エッセー地球の家を保つには―エコロジーと精神革命』Earth House Hold(1969),"Back on the Fire: Essays"(2007)などで環境問題への提言も行なっている。2008年ルース・リリー賞受賞。

スナイダー
Snyder, Richard Carlton

[生]1916.8.21. ニューヨーク,キングストン
アメリカの政治学者。 1946~55年プリンストン大学,55~65年ノースウェスタン大学,65~70年カリフォルニア大学,70年以降オハイオ大学などで教鞭をとった。外交における政策決定理論の研究で著名。「スナイダー・モデル」ともいわれる分析視角は,国政政治学の中心概念として政定決定者の行動様式に焦点をあてたことに特徴がある。主著"National and International Decision-Making" (1961) ,"Foreign Policy Decision-Making" (62) など。

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