ビートジェネレーション(その他表記)Beat Generation

翻訳|Beat Generation

デジタル大辞泉 「ビートジェネレーション」の意味・読み・例文・類語

ビート‐ジェネレーション(Beat Generation)

1950年代の米国中心に現れた、物質文明を否定し、既成社会生活から脱しようとする若者たち。また、その世代。文学運動としても発展し、ギンズバーグケルアックなどが中心的存在となった。ビート派
[類語]ロストジェネレーションX世代Y世代Z世代団塊の世代しらけ世代バブル世代氷河期世代ミレニアル世代デフレ世代ゆとり世代

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改訂新版 世界大百科事典 「ビートジェネレーション」の意味・わかりやすい解説

ビート・ジェネレーション
Beat Generation

1950年代のアメリカに起こったビート運動になんらかのかかわりをもった世代(ビートニクbeatnik)の総称。ビート運動は,抑圧的で非人間的な機能をもつ社会体制と,そこに安住しようとするスクエアsquareすなわち保守的で中産階級的な価値観とに反逆し,人間性の無条件な解放のために積極的に貧困に甘んじ,原始的なコミューン生活を行おうとする一種の生活運動である。この運動は第2次大戦中の原子爆弾の製造と爆発,ナチスによるユダヤ人大量虐殺などによって予感されはじめ,戦後,東西両陣営の冷戦と呼ばれる緊迫した対立や,それに便乗して極右的な権力操作をもくろんだマッカーシイズムなどによっていっそう顕在化した。そして,日常的な行動様式,性の問題,服飾など,一般の風俗的な価値観などにも多大の影響をおよぼした。この運動の端緒の一つに,解放された個性の自然発生的な発動に力点をおこうとする文学・芸術上の新運動があったが,アレン・ギンズバーグの詩《吠える》(1956),ジャック・ケラワックの小説《路上》(1957)などは,ビート運動の高らかな宣言であったともいえるし,ノーマン・メーラーの評論《白い黒人》(1957)などはその強力な擁護論であった。この運動に参加した人たちは,具体的には,それぞれの行動様式にニュアンスをもたせて,ヒッピー,ヒップスター,〈聖なる野蛮人〉などと呼ばれることもある。この運動の一つの特色として,西欧的な合理主義に背を向けて東洋的なもの,ことに禅Zenと呼ばれるものへの著しい傾斜がある。現象としてのこの運動は,ヨーロッパ各国や日本にも受け入れられて,今日のさまざまな体制批判的な思考や行動,あるいは一般的な習俗の変容,などにまで尾を引いている。

 ちなみに,ビートという語の意味は,打ちのめされた結果としての消耗と枯渇,ジャズ音楽のビート,至福beatitudeなどといった意味の複合であるといわれ,そのような意味でこの語を最初に用いたのはケラワックであった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビートジェネレーション」の意味・わかりやすい解説

ビート・ジェネレーション
Beat Generation

1950年代にアメリカ合衆国で台頭した社会運動および文学運動,またはその運動を担った作家サンフランシスコのノースビーチ,ロサンゼルスのベニスウェスト,ニューヨークグリニッチビレッジにあるコミュニティを中心に発展した。彼らはみずからをビート beat(元の意味は weary〈うんざり〉だが,のちにビーティフィック beatific〈至福の〉を意味した)と呼び,あるいは嘲りも交えてビートニク beatnik(ビートニクス beatniks)と表現した。一般に,政治や社会に無関心な人々をさし,個人の解放や浄化のほかに,ドラッグ,ジャズ,セックス,仏教などを通じて知覚認識を高めることを唱道する。この運動の擁護者として小説家のポール・グッドマンがいる。ビート詩人たちはサンフランシスコのベーグル店やロレンスファリンゲッティの経営するシティー・ライツ書店を拠点にみずからの詩を朗読し,ときにはプログレッシブ・ジャズ伴奏にあわせて読んだ。アレン・ギンズバーグや,この運動の重要人物である小説家のジャック・ケルアックは,作家がみずからの考えや感情を書きとめるにあたり,自由で構成にとらわれないことを推奨した。1960年頃までにグレゴリーコーソ,ゲーリー・スナイダーら前途有望な多くの書き手が輩出した。またチャールズ・オルソンやウィリアム・S.バローズといった,あまりに型破りなため無視されてきた作家への世間一般の認知に道が開かれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビートジェネレーション」の意味・わかりやすい解説

ビート・ジェネレーション
びーとじぇねれーしょん

ビート派

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世界大百科事典(旧版)内のビートジェネレーションの言及

【アメリカ文学】より

…科学・技術の進歩に対して単純な希望を託し得ないことが明瞭になり,ルネサンス以降西欧文明が不純物として切り捨てつづけてきたものの中にこそ,人間にとって重要なものがあったのではないかという反省も出てくる。小説家ケラワックや詩人ギンズバーグ,スナイダーなどの50年代ビート・ジェネレーションが東洋的なものへの志向を示した理由もそこにある。伝統的なアングロ・サクソン支配の体制がゆらぐにつれ,疎外感をかかえながら生きてきた黒人やユダヤ系の作家たちも,その屈折した心情を文学に結実させることが多くなった。…

【スナイダー】より

…サンフランシスコ生れ。アレン・ギンズバーグとともに,いわゆるビート運動(ビート・ジェネレーション),およびそのライフスタイルの教祖的存在である。1956年から日本で臨済禅を合計8年近くも修行,ほかに真言密教,ヒンドゥー教,アメリカ・インディアンの神話にも通じ,影響を受けている。…

※「ビートジェネレーション」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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