インド北西部、ジャム・カシミール州の夏の州都(冬の州都はジャム)。標高約1600メートル、カシミール盆地の中心に位置する。人口89万4940(2001)。ジェラム川の氾濫原(はんらんげん)の上にできた町で、ダル湖をはじめ湖沼や低湿地が広がり、網目状に運河がみられ水の都といわれる。周辺は水田地帯が広く分布する。住民はイスラム教徒が多い。年降水量650ミリメートル、平均気温12℃で夏の高温多雨がなく、平原地帯から避暑に訪れる客が多い。古くよりカシミール盆地の物資の流通の中心であり、カラコルム、チベット方面への通商の起点として発展した。市内には、ヒンドゥー寺院、イスラム寺院をはじめ、歴代のムガル帝王のつくったナシーム、ニシャット・バーなどの庭園があり、観光地としても有名。
[林 正久]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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