セミイルカ(英語表記)Lissodelphis borealis; northern right whale dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セミイルカ」の意味・わかりやすい解説

セミイルカ
Lissodelphis borealis; northern right whale dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科セミイルカ属。体長は雄約 3.1m,雌約 2.3m。最大体重は約 115kg。出生体長は推定約 1mに達する。体色は全身黒色であるが,下顎の先端に小さい白色斑があるほか,咽喉部後方から尾鰭 (おびれ) の中央部にかけて白色の帯がある。白色帯は胸部付近で最も幅が広くなる。尾柄部では上下面にあるキール (稜状の隆起) のみが白色を呈する。尾鰭上面の後縁は淡色である。体型は細長く,吻端から背部に向ってゆるやかにふくらむ。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。嘴 (くちばし) はきわめて短く先がとがっており,下顎が上顎より突出する。背鰭はない。胸鰭は小さく,幅が非常に狭い。上下顎骨にとがった細い円錐歯が左右 37~54対並ぶ。群れは通常 100~200頭であるが,まれに 3000頭をこえる。イルカ類と混群をなし,特にカマイルカとの大きな混群を形成することが多い。出産期は冬から早春までである。おもにスルメイカ類やハダカイワシ類を捕食するが,食性範囲が広く,表層性および中層性の魚類も捕食する。イカ流し網による混獲が著しく,その数は年間2万頭に上る。太平洋の大洋域のみに分布し,北緯 30゜~50゜によく出現する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セミイルカ」の意味・わかりやすい解説

セミイルカ
せみいるか / 背美海豚
northern right whale dolphin
[学] Lissodelphis borealis

哺乳(ほにゅう)綱クジラ目マイルカ科の海産動物成体の体長は約3メートルで、雄は雌よりも大きい。体色は黒色で胸部が白く、その白色部が腹面に細く伸びて尾びれまで達している。下顎(かがく)先端も白い。背びれがなく、体形トウガラシの実に似ているので、トウガラシとよぶ地方もある。北太平洋の中緯度海域にのみ分布が限られている。群集性で、2000~3000頭の大群をなすこともあり、ほかの種類のクジラ類といっしょに泳ぐこともしばしばある。南半球の中緯度海域に近縁種シロハラセミイルカL. peroniが分布する。この種は上下両吻(ふん)および両胸びれが白い。

[西脇昌治]

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「セミイルカ」の解説

セミイルカ
学名:Lissodelphis borealis

種名 / セミイルカ
科名 / マイルカ科
日本にいる動物 / ◎
解説 / 背びれのないほっそりした体で、高速で泳ぎます。ふつう100~200頭の群れですが、数千頭の大群にもなります。
体長 / 2~2.5m、最大3.1m
体重 / 最大記録は115kg
食物 / イカ、魚
分布 / 北太平洋の寒帯と温帯の海

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