セローフ(読み)せろーふ(英語表記)Валентин Александрович Серов/Valentin Aleksandrovich Serov

デジタル大辞泉 「セローフ」の意味・読み・例文・類語

セローフ(Serov/Серов)

ロシア連邦スベルドロフスク州の都市。ウラル山脈の東麓、カクバ川沿いに位置する。19世紀末より製鉄業が盛ん。元はナデジディンスクと称したが、ソ連時代に同名のパイロットにちなんで改名された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セローフ」の意味・わかりやすい解説

セローフ(Valentin Aleksandrovich Serov)
せろーふ
Валентин Александрович Серов/Valentin Aleksandrovich Serov
(1865―1911)

ロシア画家ペテルブルグで作曲家の家庭に生まれる。少年時代にレーピンに師事、その後ペテルブルグ美術アカデミーに学んだ。画家のブルーベリやコローウィンと親交を結び、いわゆるアブラムツェボ・グループの一員であった。初期の代表作としては『桃をもつ娘』(1887)、『陽光を浴びる娘』(1888)があり、初期ロシア印象主義の作品として高く評価されている。1890年代の初めから主として肖像画を描き、コローウィン、レビタンレスコフ、リムスキー・コルサコフカチャーロフカルサビナゴーリキーシャリアピンなどロシア文化史に名を残す人々の肖像を描いた。また、晩年には『ピョートル1世』(1907)など歴史画も制作、ロシア写実主義絵画に大きな足跡を残した。弟子クズネツォフサリヤンペトロフ・ウォトキンユオンなど初期ソビエト美術界の選良たちがいる。

[木村 浩]


セローフ(ロシア連邦)
せろーふ
Серов/Serov

ロシア連邦中西部、スベルドロフスク州の工業都市。ウラル山脈中部東麓(とうろく)のカクバ川河畔にある。人口10万0400(1999)。19世紀末につくられた製鉄工場から発展し、銑鋼一貫工場がある。コバコフスクとよばれた1934~37年を挟んで、1929年から39年までナデジディンスクНадеждинск/Nadezhdinskといった。市名はソ連時代のテスト・パイロットA・K・セローフを記念したもの。鉄道路線の交点。

[中村泰三・小俣利男]

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改訂新版 世界大百科事典 「セローフ」の意味・わかりやすい解説

セローフ
Valentin Aleksandrovich Serov
生没年:1865-1911

ロシアの画家。〈移動展派〉の一人。ペテルブルグ生れ。父は著名な作曲家。少年時代レーピンから絵画の手ほどきを受け,生涯を通じてその影響力は大きかった。1880-85年ペテルブルグの美術アカデミーでチスチャコフに師事。ミュンヘン,パリに遊学し肖像画家として成功する。大実業家マーモントフ家のサロンに出入りしたアブラムツェボ(モスクワ近郊)時代は,印象派風の明るい色彩とリアリズムを追求した。その後は性格と心理描写に向かい,革命前のさまざまな階層の人々を注意深く,時には風刺的に描いた。90年代の終りに移動展派を脱し,ディアギレフ,ベヌアらの《芸術世界》グループに加わった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セローフ」の意味・わかりやすい解説

セローフ
Serov

ロシア中西部,スベルドロフスク州の都市。1939年までナデジジンスク Nadezhdinsk。州都エカテリンブルグの北約 300km,ウラル山脈中部東麓にあり,オビ川水系カクバ川に臨む。1890年代にシベリア鉄道用のレールをつくるための工場が建設されたことに始まり,ロシア革命前にはウラル地方第1の製鉄都市に発展。ウラル鉱業・冶金地帯北部の中心地で,銑鋼一貫作業を行なう製鉄所が立地し,ほかに製材,食品などの工場がある。エカテリンブルグと鉄道,ハイウェーで連絡。人口 9万8044 (2006推計) 。

セローフ
Serov, Valentin (Aleksandrovich)

[生]1865
[没]1911
ロシアの画家。父は作曲家。レーピンの弟子で,フランス印象主義の影響も受ける。軽妙な筆致で肖像画,風景画を制作,19世紀末の画壇の中心となる。代表作は『桃を持つ少女』 (1877,トレチヤコフ国立美術館) 。

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百科事典マイペディア 「セローフ」の意味・わかりやすい解説

セローフ

ロシアの画家。ペテルブルグ生れ。レーピンに学び,フランスのレアリスムや印象主義を吸収して,大気や光の描写にすぐれた造形性を示した。特に肖像画を得意とし,代表作に《少女と桃》(1887年,モスクワ,トレチヤコフ美術館蔵),《ゴーリキー》(1904年,モスクワ,ゴーリキー記念館蔵)など。

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世界大百科事典(旧版)内のセローフの言及

【芸術世界】より

…また,この雑誌に参加した知識人,画家グループの名称。ディアギレフベヌアを中心に編集され,D.S.メレシコフスキーらの文芸評論を掲載し,バクスト,セローフ,ソモフKonstantin Andreevich Somov(1869‐1939),ドブジンスキーMstislav Valerianovich Dobuzhinskii(1875‐1957)らの挿画で飾られた。西欧の同時代の芸術に刺激をうけ,反アカデミー,反リアリズムを指向し,1904年まで全12号を刊行。…

※「セローフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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