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ぜんそくはもうこわくない―ぜんそくの正しい管理と治療 ぜんそくはもうこわくないぜんそくのただしいかんりとちりょう

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家庭医学館の解説

ぜんそくはもうこわくないぜんそくのただしいかんりとちりょう【ぜんそくはもうこわくない―ぜんそくの正しい管理と治療】

ぜんそくとはどんな病気だったか
 医学が進歩し、ぜんそくへの理解が進んだ今日でも、年間5000人を超える患者さんが、ぜんそく発作(ほっさ)で尊い命をなくされています。さらに、何百万という患者さんがぜんそくで苦しんでいるのです。
 最近になり、ようやく吸入ステロイド薬(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)の導入によって、多くのぜんそく患者さんの症状が劇的に改善され、生活の質(QOL)が目にみえて向上するようになりました。
 最近、ぜんそくとは気管支の筋肉(平滑筋(へいかつきん))が収縮して気道(きどう)がつまるという単純なものではなく、気管支粘膜(きかんしねんまく)や粘膜下の炎症がむしろ問題であることがわかりました。
 ふつう炎症がおこると、炎症細胞(好酸球(こうさんきゅう)、リンパ球、好中球(こうちゅうきゅう)など)がそこに集まり、それからさまざまな化学伝達物質が放出されます。炎症部は、それらの物質によって赤く腫(は)れあがり、知覚(痛覚)が過敏になるのです。
 皮膚がやけどをすれば、ちょっとさわっても痛いので飛び上がったり、その刺激を避けようとします。
 アレルギー性の炎症が気管支の表面でおこると、粘膜が腫れ、一部の細胞は脱落して分泌物(ぶんぴつぶつ)(たん)が増えます。また、知覚が敏感になるため、皮膚なら痛くて飛び上がるところを、気管支ではその筋肉が収縮して、気道が狭くなるのです。
 このように、常に気管支に炎症がある人では、アレルギー反応を示す物質(抗原(こうげん))の刺激だけでなく、ありふれた刺激(たばこの煙、排気ガス、冷たい空気など)でも気管支を刺激し、もともとの炎症を悪化させ、気管支がより狭くなり、症状が慢性化していくのです。
●治療の主役は抗炎症薬
 気管支の炎症にもっとも有効なのはステロイド薬です。ステロイドホルモンには、糖質(とうしつ)コルチコイド、鉱質(こうしつ)コルチコイドの2種類があり、体内では副腎皮質(ふくじんひしつ)から分泌されています。ストレスがかかると、糖質コルチコイドの分泌量が増します。これを薬剤として使うと、現在ではもっとも強力な抗炎症薬になります。
 ステロイド薬は、炎症細胞の数を減らしたり、炎症細胞からの化学伝達物質の分泌を減らしたり、血管から血漿成分(けっしょうせいぶん)がにじみ出すのを減らすことによって炎症を抑えます。また、粘液の分泌を抑えたり、気管支を拡張させる平滑筋のβ(ベータ)受容体の数を増やします。
 このように、ぜんそくがおこるいろいろな過程にはたらいて、効果を発揮するのが、ステロイド薬の最大の特徴です。
 今までのぜんそくの治療は、気管支拡張薬の吸入による治療でした。これは、たとえばやけどに対して、「痛みどめ」だけで治療していたようなものです。痛みが一時的におさまっても、炎症はそのままですから、いつまでも痛みどめを使い続けなければならないようなものだったのです。
 ぜんそくも、適切に抗炎症薬を使って炎症を抑えれば、いわゆる「痛みどめ」である気管支拡張薬を使う頻度は減るはずです。抗炎症薬が治療の中心となるべきなのです。もちろん原因物質(抗原)がわかっていればそれを遠ざけ生活環境を改善することも当然です。
●なぜ吸入ステロイド薬なのか
 ステロイド薬は最強の抗炎症薬ですが、長期間、注射や内服を続けると、免疫力が低下する、骨が弱くなる、糖尿病になる、皮膚が薄くなって皮下出血をおこしやすくなる、ステロイドを分泌する副腎皮質が萎縮(いしゅく)するなど、全身に多くの副作用が出てきます。そのため、おそるおそる使われてきました。
 皮膚のやけどが、まず皮膚の問題であるように、ぜんそくは、まず気管支の問題です。皮膚のやけどに塗り薬を用いるように、気管支の病気には吸入剤を用いるのが当然です。
 ステロイド薬を注射や内服で使用すると、血液にのって全身にまわりますが、気管支に到達する分量はごくわずかです。にもかかわらず、副作用の危険が増します。
 吸入ステロイド薬は、うまく吸入しても噴射量の10%強しか肺に到達しませんが、驚くほどの効果を発揮します。からだ全体からみればその吸収量は非常に少なく、副作用の発生は、全身に使用したときに比べ問題にならないほど少なくなるわけです。
 しかし、ステロイド薬の吸入療法を成功させるにはいくつかの工夫が必要です。たとえば、吸入ステロイド薬と吸入気管支拡張薬のちがいを知ることがたいへん重要です。
 吸入気管支拡張薬は、すぐに症状がとれますが一時的で、ぜんそく自体をよくしているわけではありません。一方、吸入ステロイド薬はすぐにはよくなりませんが、ぜんそく自体をよくしているのです。
 つぎに、吸入法をマスターすること、とくに吸入補助器具を使った吸入法の習得が大事で、これをマスターしなければ、せっかくの良薬が肺にとどかず、まったく役立ちません。
 また、吸入後にうがいを励行することで口腔内(こうくうない)におこる薬の副作用(かびが生える、のどが痛くなる)を防いだり、比較的少ない全身の副作用を、より少なくすることができます。
●ぜんそくの自己管理について
 吸入ステロイド薬によって、ぜんそくの自己管理は飛躍的に簡単になりましたが、さらによくする秘訣(ひけつ)があります。それは、患者さんが自分で自分のぜんそくの程度を評価し、それにしたがって治療を段階的に強めたり、ゆるめたりすることです。
 今までは、息苦しさの自覚症状だけで、吸入剤を吸ったり、病院を受診する判断基準にしていました。
 最近の研究で、重症のぜんそくになるほど息苦しさを感じる感度が鈍くなることがわかってきました。これは、気管支がかなり狭くなっているのに息苦しさを感じないということで、息苦しいと感じたときには、すでに危機的な状態になっている可能性もあります。つまり、自覚症状はあてにならず、自覚症状がたよりの治療では、治療不足や、治療の遅れにつながるわけです。
 これを防ぐには、ピークフローメーターという器械で、はく息(呼気)の速さを患者さん自身が測定します。呼気の速度が落ちれば気管支が狭くなっていると考えられます。1日数回測定し、記録します。もっとも状態がよいときのピークフロー値や年齢、性別、身長から求めた標準的な予測値を目標とするようにし、通常は、それらの値の80%以上のピークフロー値を保つように治療します。
 自覚症状がないのにピークフロー値が低いときは要注意です。このような場合は、なるべく安静にしたり、吸入ステロイド薬をいつもより増やしたりします。吸入ステロイド薬の増減が治療の基本です。
 それでもピークフロー値が低くなるときは、ステロイド薬を内服したり、病院を受診したりします。
 すべての患者さんがピークフローを測定する必要はありませんが、いろいろな治療を試みても自覚症状がとれない慢性の患者さんは、一度試みるべきでしょう。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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