日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼーガース」の意味・わかりやすい解説
ゼーガース
ぜーがーす
Anna Seghers
(1900―1983)
ドイツの女流小説家。本名ネティ・ラドバニ。古美術商の娘としてマインツに生まれる。レンブラント研究で学位を取得。1928年に社会主義文学の代表的な中編小説『聖バルバラの漁夫の反乱』でクライスト賞を受けた。その後革命的作家として活動、33年ナチス政権下に一時捕らえられたが逃走し、フランスへ、さらに41年にはメキシコへ亡命する。『第七の十字架』(1942)、『トランジット』(1943)をはじめとする作品を完成、反ナチスの闘いを描いた。47年、当時の東ドイツに帰国。第二次世界大戦後のドイツ民主共和国の中心的作家として活躍した。51年スターリン平和賞受賞。長編に『死者はいつまでも若い』(1949)、『決断』(1959)、『信頼』(1968)、短編に『死んだ少女たちの遠足』(1946)、『第一歩』(1953)、『絞首台上の光』(1961)などがある。
[八木 浩]
『道家忠道・上野修・長橋芙美子他著『アンナ・ゼーガースの文学世界』(1982・三修社)』