日本大百科全書(ニッポニカ) 「タテハモドキ」の意味・わかりやすい解説
タテハモドキ
たてはもどき / 擬蛺蝶
peacock pansy
[学] Junonia almana
昆虫綱鱗翅(りんし)目タテハチョウ科に属するチョウ。種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)以南の南西諸島に普通にみられ、九州本土では東海岸では宮崎平野まで、西海岸では薩摩(さつま)半島まで分布する。以北の熊本・長崎・大分の各県下、四国、本州でまれに発見されるのは南方からの迷チョウ。国外では中国南部から西はインド、東はボルネオ島、セレベス島にわたり東南アジアに広く分布する。はねの開張50ミリメートル内外。季節により翅形、斑紋(はんもん)に著しい変異があり、秋型ははねが角張り、はねの裏面の模様が枯れ葉状となる。九州南部では越冬した母チョウの産んだ卵より発生した第1化は、5月中旬~下旬より発生、以後連続的に晩秋から12月まで数回の発生を繰り返す。幼虫のおもな食草はクマツヅラ科のイワダレソウ、キツネノマゴ科のオギノツメ、ゴマノハグサ科のスズメノトウガラシである。
[白水 隆]