タマニー・ホール(読み)たまにーほーる(英語表記)Tammany Hall

翻訳|Tammany Hall

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タマニー・ホール」の意味・わかりやすい解説

タマニー・ホール
たまにーほーる
Tammany Hall

ニューヨーク市政を支配したボス機構の俗称。伝説上のインディアンの名をとった友愛団体タマニー協会として建国期に生まれた。のちにリパブリカン党のアーロン・バー派と結び付いて政治集団化し、連邦党員は脱会した。その後この派閥は1812年にタマニー・ホールを建ててその本拠とし、ジャクソン時代には民主党形成の担い手となり、以後約100年間ニューヨーク市政を牛耳(ぎゅうじ)った。1850年代以降、とくに南北戦争直後の「ボス・ツイード」の時代の腐敗政治は悪名高いが、下層移民集団の利害を代弁する側面もあった。70年代以降はアイルランド人ボスが支配し、20世紀には社会福祉政策を推進するようになり、そのなかからアルスミスやロバート・ワグナーを連邦政治に送り込んだ。しかしニューディール期にイタリア系共和党員ラガーディアに市長職を奪われて以後急激に衰退し、1960年代にはユニオン・スクエアにあった本拠のタマニー・ホールの建物までが売りに出された。

[安武秀岳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タマニー・ホール」の意味・わかりやすい解説

タマニー・ホール
Tammany Hall

アメリカ合衆国,ニューヨーク市の民主党執行委員会の俗称。ニューヨーク郡または市の民主党の組織をさすこともある。 1789年に,民主的な主義と行動,土着の精神をもつ国家的団体がアメリカインディアンの名称をとって聖タマニー協会として創設され,その後約 30年間,中産階級を代表して活躍した。 1805年にタマニー協会は社交団体と政治団体に分れ,新たに民主党がつくられたが,政治は協会のボスたちの統制下にあり,68年には会長の W.ツイードが市政を支配し,汚職により富を蓄積したためタマニーはボス政治の汚職の別語とされるほどであった。その後しばしばタマニー再生の計画があったが,1950年に E.インペリテリがタマニーとは別に立候補してタマニーの組織を決定的に打ち破った。

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