タングステン鉱床(読み)たんぐすてんこうしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タングステン鉱床」の意味・わかりやすい解説

タングステン鉱床
たんぐすてんこうしょう

タングステンを含有する鉱物を主要構成鉱物とする鉱床。タングステン鉱床を構成する主要鉱物は、鉄マンガン重石[(Fe,Mn)WO4]および灰重石[Ca(Mn,W)O4]の二つである。両者とも、タングステンのほかにマンガンを含有する。鉱床は、花崗(かこう)岩の貫入に関連して生成するのが一般で、花崗岩体中またはその周辺に発達し、マグマ活動に関連して高温ないし中温の条件下で生成したものである。鉱床の型としては、ペグマタイト鉱床熱水成(熱水)鉱床、スカルン型鉱床、および砂(漂砂)鉱床などがある。鉱石品位は1%(三酸化タングステンWO3)以下のものが多い。普通、脈状形態を示すペグマタイト鉱床、熱水成鉱床には鉄マンガン重石を主とするものが多く、このほか輝水鉛鉱、輝蒼(きそう)鉛鉱などを伴い、脈石鉱物は石英、白雲母(しろうんも)、黄玉(トパーズ)などである。スカルン型鉱床は灰重石を主とし、黄鉄鉱、黄銅鉱などを伴い、脈石鉱物はスカルン鉱物である。世界的には、中国山西省・江西省、ミャンマー、カザフスタン、ロシアのトランスバイカル、ボリビアなどに産出が多い。中国江西省南部の大余地域には、中生代ジュラ紀の花崗岩体があり、これに関連してタングステンを産するペグマタイト鉱床や熱水鉱脈鉱床が多数発達する。なかでも、西華山鉱床は約600の石英脈より構成され、走行方向の延長距離は最大で1000メートル余り、平均で約250メートルである。また、脈幅は最大で4メートル、平均0.5メートル程度である。産出鉱物は、鉄マンガン重石、灰重石のほかに錫石(すずいし)も含まれる。一般に大規模なペグマタイト、スカルン型鉱床の産出としては、韓国の上東鉱山、アメリカ西部のシエラ・ネバダ地域、オーストラリア南東部のキング島などが有名である。日本では、京都府大谷・鐘打(かねうち)、兵庫県明延(あけのべ)、茨城県高取(たかとり)の熱水鉱脈型鉱床、福島県八茎(やくき)、島根県都茂(つも)、山口県岩国(いわくに)市玖珂(くが)のスカルン型鉱床が代表例である。

[金田博彰]

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最新 地学事典 「タングステン鉱床」の解説

タングステンこうしょう
タングステン鉱床

tungsten deposit

一般に花崗岩類の活動に伴い,深~中熱水鉱床,あるいはグライゼンを伴う気成鉱床を形成。ペグマタイトにも小規模に濃集する。主要鉱石鉱物は鉄マンガン重石(鉄重石やマンガン重石のこともある)と,Caに富む環境では灰重石。輝蒼鉛鉱・輝水鉛鉱・錫石・硫砒鉄鉱磁硫鉄鉱・黄銅鉱などをよく伴う。自然金と共生して,金-タングステン鉱床をつくる場合もある。石英・方解石・白雲母・トパーズ・蛍石・電気石・ざくろ石・緑柱石などを脈石とする鉱脈が一般的だが(中国江西省の西華山鉱床,日本の鐘打・大谷・高取鉱山),角礫岩型や鉱染状の鉱床にもなる。ざくろ石・単斜輝石・ベスビアナイトなどとスカルン鉱床も形成(韓国の上東鉱床,日本の玖珂・藤ヶ谷鉱山)。またSnなどを含む多金属鉱床や斑岩モリブデン鉱床に伴うこともあり,副産物として回収。特殊な例では海底熱水成とされる灰重石鉱床が,オーストリアのFelbertalの火山岩類中に知られている。中国の華南地域は,燕山期の花崗岩活動によるWとSnの一大鉱産地として有名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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