増資による新株式や子会社株式の割当ての権利,あるいは配当,株主優待権(〈株主〉の項参照)などを受け取る権利がなくなった状態をいう。このうち新株式引受けの権利がなくなった場合は,とくに〈新株権利落ち〉〈新株落ち〉あるいは〈増資権利落ち〉とも呼ばれる。また配当を受け取る権利がなくなった場合は〈配当落ち〉とも呼ばれ,狭義の権利落ちには含めない。子会社株式,優待権などを引き受ける権利がなくなっても,株価は影響を受けないが,新株落ちおよび配当落ちの場合,理論上,株価は影響を受けて下落する。新株式が時価に対して有利な価格で発行される場合,通常,旧株式に優先的にこれを引き受ける権利が発生する(新株式の有利発行には,有償増資,無償増資,有償・無償抱合せ増資,中間発行増資などがある)。そこで権利付きの日に買った株式と,権利落ち後の日に買った株式のあいだで,有利不利が生じないように,株価を修正することになる。新株落ちの場合,その理論値は,
となる。一方,配当金は債券の経過利子のように,株価に反映されてもよいはずであるが,株価は配当以上にダイナミックに動くため,権利落ち後の最初の日(落ち日)に,予想配当分だけ株価が修正されるわけである。落ち日に予想配当分(あるいはそれ以上)株価が上昇することも当然あるが,これを〈配当落ち分を埋める(埋めてなお高い)〉というふうに表現する。普通取引では,受渡しに4日かかるため,新株落ち・配当落ちともに,割当日の4日前に権利落ちする。なお権利落ち日の前日が権利付最終日である。
執筆者:大須賀 昇
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…したがって,割当日(実際には受渡期間を計算に入れて普通取引ではその4日前)を過ぎると,旧株の市価は新株のプレミアム分だけ安くなる。これを権利落ちまたは新株落ちという。これに対して,株式譲渡を制限している会社では,株主は原則として,法律上当然に新株引受権を有する(商法280条ノ5ノ2)。…
※「権利落ち」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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