権利落ち(読み)ケンリオチ

デジタル大辞泉 「権利落ち」の意味・読み・例文・類語

けんり‐おち【権利落ち】

所定期日(割り当て日)が過ぎて、旧株に割り当てられる新株や別会社の株式などの取得権利がなくなること。→権利付き

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改訂新版 世界大百科事典 「権利落ち」の意味・わかりやすい解説

権利落ち (けんりおち)

増資による新株式や子会社株式の割当ての権利,あるいは配当株主優待権(〈株主〉の項参照)などを受け取る権利がなくなった状態をいう。このうち新株式引受けの権利がなくなった場合は,とくに〈新株権利落ち〉〈新株落ち〉あるいは〈増資権利落ち〉とも呼ばれる。また配当を受け取る権利がなくなった場合は〈配当落ち〉とも呼ばれ,狭義の権利落ちには含めない。子会社株式,優待権などを引き受ける権利がなくなっても,株価は影響を受けないが,新株落ちおよび配当落ちの場合,理論上,株価は影響を受けて下落する。新株式が時価に対して有利な価格で発行される場合,通常,旧株式に優先的にこれを引き受ける権利が発生する(新株式の有利発行には,有償増資無償増資有償・無償抱合せ増資,中間発行増資などがある)。そこで権利付きの日に買った株式と,権利落ち後の日に買った株式のあいだで,有利不利が生じないように,株価を修正することになる。新株落ちの場合,その理論値は,

となる。一方,配当金債券経過利子のように,株価に反映されてもよいはずであるが,株価は配当以上にダイナミックに動くため,権利落ち後の最初の日(落ち日)に,予想配当分だけ株価が修正されるわけである。落ち日に予想配当分(あるいはそれ以上)株価が上昇することも当然あるが,これを〈配当落ち分を埋める(埋めてなお高い)〉というふうに表現する。普通取引では,受渡しに4日かかるため,新株落ち・配当落ちともに,割当日の4日前に権利落ちする。なお権利落ち日の前日が権利付最終日である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「権利落ち」の意味・わかりやすい解説

権利落ち
けんりおち

株式会社が増資する際に、旧株式に割り当てられる新株式あるいは別会社の株式などの引受の権利がなくなった状態をいう。増資新株の引受権がなくなった場合は、とくに新株落ちとよばれる。権利落ち日を決定するには、配当落ちの決定と同じく、普通取引では一般に割当て日の4日前となる。権利付きの最終日は権利落ち日の前日である。権利落ちの株価はそのときの株式のプレミアムに見合って下落する。なお、広義には配当落ち(配当受領権のなくなった状態)を含めていう場合がある。

[桶田 篤]

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百科事典マイペディア 「権利落ち」の意味・わかりやすい解説

権利落ち【けんりおち】

増資による新株や子会社株式の割当てを受ける資格を権利というが,この割当権利を受けてしまった後の状態または株価を権利落ちという。新株落ちとも。権利分に相当する金額だけ株価が低落するのが普通である。→配当落ち
→関連項目新株ダウ式平均株価

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世界大百科事典(旧版)内の権利落ちの言及

【新株発行】より

…したがって,割当日(実際には受渡期間を計算に入れて普通取引ではその4日前)を過ぎると,旧株の市価は新株のプレミアム分だけ安くなる。これを権利落ちまたは新株落ちという。これに対して,株式譲渡を制限している会社では,株主は原則として,法律上当然に新株引受権を有する(商法280条ノ5ノ2)。…

※「権利落ち」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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