日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャオ石」の意味・わかりやすい解説
チャオ石
ちゃおせき
chaoite
石墨ともダイヤモンドとも異なる炭素の一変態として記載された鉱物。1968年ドイツのゴレシーAhmed El Goresy(1933― )とカナダのドネーG. Donnay(1920―1987)によってドイツ、ネルトリンゲンのリースRies隕石孔から発見された。いまだに合成されておらず、また比重3.43はダイヤモンドの3.515に匹敵するにもかかわらず、その硬度は1~2と石墨並みなので、その存在あるいは記載内容を疑問視する見解もある。その後2、3の隕石中からも報告されている。自形未報告。衝撃変成を受けた含石墨片麻岩(へんまがん)中、石墨と格子状連晶をなして産する。日本では報告されていない。
共存鉱物は石墨、ジルコン、金紅石、擬板(ぎばん)チタン石、磁鉄鉱、黒雲母、石英など。これまでに顕微鏡で確認できる大きさのものしか確認されておらず、肉眼観察結果は報告されていない。命名はアメリカ地質調査所の岩石学者エドワード・チン・テ・チャオEdward Ching-Te Chao(1919―2008)にちなむ。
[加藤 昭]