チャセンシダ(読み)ちゃせんしだ(英語表記)maidenhair spleenwort

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャセンシダ」の意味・わかりやすい解説

チャセンシダ
ちゃせんしだ / 茶筅羊歯
maidenhair spleenwort
[学] Asplenium trichomanes L.

チャセンシダ科の常緑性シダ。石垣や岩の割れ目に生える。直立した短い根茎から1回羽状の葉が多数束生し、葉柄、葉軸とも栗(くり)褐色光沢がある。大きなものは高さ30センチメートルに達する。分布は広く、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアとほとんど全世界にまたがる。中国では地下部を熱病などに薬用する。インドでは全草の煎汁(せんじゅう)を緩下(かんげ)剤、去痰(きょたん)剤とし、葉をいぶした煙を鼻かぜの治療に用いる。近縁種のイヌチャセンシダA. tripteropusとの間に雑種があり、アオチャセンシダとよばれる。

[栗田子郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チャセンシダ」の意味・わかりやすい解説

チャセンシダ(茶筅羊歯)
チャセンシダ
Asplenium; spleenwort

チャセンシダ科の1属で,世界中に分布し,約 700種が知られている。日本には約 40種ある。樹幹や岩上に着生するものが多く,葉は多く常緑で,単葉のもの (オオタニワタリ) から数回羽状複葉のもの (コウザキシダ) まで種々の形態をとり,葉脈遊離脈網状脈とがある。葉に不定芽をもつ種も知られている。本属では近縁種との間で雑種を生じやすく,ヨーロッパやアメリカでは自然雑種と同じものが人工的につくられており,日本でも自然雑種が数種類発見されている。本属の日本産のおもな種にはチャセンシダ A. trichomanesなどがある。

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