日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャセンシダ」の意味・わかりやすい解説
チャセンシダ
ちゃせんしだ / 茶筅羊歯
maidenhair spleenwort
[学] Asplenium trichomanes L.
チャセンシダ科の常緑性シダ。石垣や岩の割れ目に生える。直立した短い根茎から1回羽状の葉が多数束生し、葉柄、葉軸とも栗(くり)褐色で光沢がある。大きなものは高さ30センチメートルに達する。分布は広く、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアとほとんど全世界にまたがる。中国では地下部を熱病などに薬用する。インドでは全草の煎汁(せんじゅう)を緩下(かんげ)剤、去痰(きょたん)剤とし、葉をいぶした煙を鼻かぜの治療に用いる。近縁種のイヌチャセンシダA. tripteropusとの間に雑種があり、アオチャセンシダとよばれる。
[栗田子郎]