チューベローズ(その他表記)(common)tuberose
Polianthes tuberosa L.

デジタル大辞泉 「チューベローズ」の意味・読み・例文・類語

チューベローズ(tuberose)

月下香

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精選版 日本国語大辞典 「チューベローズ」の意味・読み・例文・類語

チューベローズ

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] tuberoos [英語] tuberose ) ヒガンバナ科多年草。メキシコ原産の野生種から作られた園芸品といわれている。日本へは寛政年間(一七八九‐一八〇一)に渡来し、広く栽培されている。高さ五〇~一〇〇センチメートル。地下塊茎がある。根出葉は広線形で、長さ三〇~五〇センチメートル。茎葉上部のものほど短く、葉の基部は茎を抱く。夏から秋にかけて、茎の先端のまばらな総状花序に二花ずつ付く。花は長さ約六センチメートルの漏斗状花で白色。強い芳香がある。八重咲種、単弁種、矮性種などがある。
    1. [初出の実例]「チュベローズの甘い薫のパッと際立って来る」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)

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改訂新版 世界大百科事典 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ
(common)tuberose
Polianthes tuberosa L.

ヒガンバナ科の塊茎性球根植物。この仲間はメキシコに約12種あるといわれているが,栽培されているのは本種のみで,すでに16世紀末にはヨーロッパに知られていた。しかし,この種の野生品は発見されていない。春植えの球根で,夏に咲く香り高い花として有名で,夕方より強い芳香を放ち,中国や日本ではゲッカコウ(月下香)の名で呼ばれる。また日本で俗にイエライシャン夜来香)と呼ばれるが,中国では夜来香とはヤコウボク,マツヨイグサ,Telosma cordata(Brum.f.)Merr.などをさす。中国名は晩香王。草丈約1mでらっぱ状の白花を穂状に多数つけ,下より順次開花する。切花として水揚げがよく,夏の生花に多用されている。一重咲品種や八重咲品種があり,一重の方が香りが高い。地温が上がらないと球根から発根しない。それで東京では,気温もあがる4月下旬~5月上旬くらいに植える。土地はやや重い深い耕土で,日当りのよい所が望ましい。

 花はインドネシアで中国料理のスープに利用されるという。また香油tuberose flower oilが花1tから1kgほど抽出され,香水の原料として重用される。現代のフランス香水の大部分には多少とも混入されているという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ
ちゅーべろーず
[学] Polianthes tuberosa L.

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の球根性多年草。原産地はメキシコとされる。地下に塊茎があり、長さ30~50センチメートル、線形の葉を束生する。秋に1メートルほどの花茎を立て、穂状花序をつける。花は乳白色の6弁花で各節に2個ずつつき、下方から順に上へ咲き上る。夕刻から咲き始め、花に香りがあるのでゲッカコウ(月下香)の名がある。また中国語読みで、イエライシャン(夜来香)の名でよばれることもあるが、中国名で夜来香と記される植物は中国南部からインドにかけて自生するガガイモ科(APG分類:キョウチクトウ科)のつる草Telosma cordata Merrであり、呼び名が混乱している。寒さにはやや弱く、暖地で育てた球根を求めて春植えすると、秋には花がみられる。一般には温室栽培の切り花用とされ、晩夏から初秋にかけて出回る。

[鳥居恒夫 2019年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ
Polianthes tuberosa; tuberose

別名ゲッカコウ (月下香) 。リュウゼツラン科の球根植物。原産地は明らかでなく,メキシコ原産とも南アメリカのアンデス山脈原産ともいわれる。広線形の根出葉を伸ばし,その中心から長さ 1m前後の花茎を伸ばす。乳白色の花冠は漏斗形で6裂し,外側が淡桃色を帯びる。一重咲きのほか,八重咲きがよく栽培される。強い芳香を放つことで知られ,切り花や香水原料としても利用される。香りは夜間により強くなる。春に球根を植付け,日当りのよい環境でやや多肥ぎみに育てる。秋に球根を掘上げ,10℃以上で貯蔵する。

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百科事典マイペディア 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ

ゲッカコウ(月下香)とも。メキシコ原産のリュウゼツラン科の球根植物。葉は剣状。夏〜秋,高さ1m内外の花茎に2花ずつつく穂状花序をつける。ギボウシに似た白色の花で,強い芳香があり,香水原料となる。八重咲もあり,春植え。暖地で切花用に栽培される。ときにイエライシャン(夜来香)と呼ばれるが,本来のイエライシャンはガガイモ科のつる植物。

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