チューベローズ(読み)ちゅーべろーず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ
ちゅーべろーず
[学] Polianthes tuberosa L.

リュウゼツラン科(APG分類:キジカクシ科)の球根性多年草。原産地はメキシコとされる。地下に塊茎があり、長さ30~50センチメートル、線形の葉を束生する。秋に1メートルほどの花茎を立て、穂状花序をつける。花は乳白色の6弁花で各節に2個ずつつき、下方から順に上へ咲き上る。夕刻から咲き始め、花に香りがあるのでゲッカコウ月下香)の名がある。また中国語読みで、イエライシャン夜来香)の名でよばれることもあるが、中国名で夜来香と記される植物は中国南部からインドにかけて自生するガガイモ科(APG分類:キョウチクトウ科)のつる草Telosma cordata Merrであり、呼び名が混乱している。寒さにはやや弱く、暖地で育てた球根を求めて春植えすると、秋には花がみられる。一般には温室栽培の切り花用とされ、晩夏から初秋にかけて出回る。

[鳥居恒夫 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チューベローズ」の意味・わかりやすい解説

チューベローズ
Polianthes tuberosa; tuberose

別名ゲッカコウ (月下香) 。リュウゼツラン科球根植物。原産地は明らかでなく,メキシコ原産とも南アメリカのアンデス山脈原産ともいわれる。広線形の根出葉を伸ばし,その中心から長さ 1m前後の花茎を伸ばす。乳白色の花冠は漏斗形で6裂し,外側が淡桃色を帯びる。一重咲きのほか,八重咲きがよく栽培される。強い芳香を放つことで知られ,切り花や香水原料としても利用される。香りは夜間により強くなる。春に球根を植付け,日当りのよい環境でやや多肥ぎみに育てる。秋に球根を掘上げ,10℃以上で貯蔵する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報