ツクバネウツギ(読み)つくばねうつぎ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツクバネウツギ」の意味・わかりやすい解説

ツクバネウツギ
つくばねうつぎ / 衝羽根空木
[学] Abelia spathulata Sieb. et Zucc.

スイカズラ科(APG分類:スイカズラ科)の落葉低木。高さ2メートル。葉は対生し、楕円(だえん)形、長さ2~4.5センチメートル。株の根元から長く伸びる枝を出すが、花はつかない。翌年この枝から短い枝を出し、5月、その先に2個ずつ花を開く。萼片(がくへん)は5枚。子房下位で3室あるが、1室だけに一つの種子ができる。本州から九州に分布する。名は、衝羽根(つくばね)に似たウツギの意味で、果実にへら形の萼片が5枚残っていることによる。関東および中部地方の高地(1000~2000メートル)には、花冠が小さく、濃赤色となる変種ベニバナツクバネウツギが分布する。近縁コツクバネウツギは枝の先に2、4、6または8個の花をつけ、萼片は2、3枚で花は小さい。静岡、長野、福井県以西の本州から九州に分布する。

 ツクバネウツギ属アベリア属)は約20種あり、おもに中国と日本に分布するが、メキシコにも隔離分布している。近年、ハナゾノツクバネウツギはアベリアの名で、垣根などによく植えられる。

[福岡誠行 2021年12月14日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツクバネウツギ」の意味・わかりやすい解説

ツクバネウツギ(衝羽根空木)
ツクバネウツギ
Abelia spathulata

スイカズラ科の落葉低木。本州,四国,九州北部の山地に多い。葉は長さ3~5cmの卵形で,上半に波状の鋸歯があり対生する。5月頃,枝先に数個の黄白色の花をつける。花冠は筒状の鐘形で,基部は細くくびれ先端は広がって5つに浅く裂ける。5個の大きな萼片があり,花後も残存して羽根つき羽根に似ており,また木の形がウツギに似ていることからこの名がある。大正年間に輸入された近似種のハナツクバネウツギ A. grandifloraは中国産の種類をもとに交配された園芸種で花期が長く,庭木植込みなどに広く栽植されている。雑種であるため萼片の数が2片,3片,4片などまちまちである。近頃は市街地や高速道路のグリーンベルトの植込みに好んで使われている。

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