アベリア(読み)あべりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベリア」の意味・わかりやすい解説

アベリア
あべりあ
[学] Abelia

スイカズラ科(APG分類:スイカズラ科)の1属名であるが、園芸上はハナゾノツクバネウツギ(ハナツクバネ)を通常アベリアとよんでいる。ハナゾノツクバネウツギA. × grandiflora Rehd.は、中国中南部に分布する落葉低木で花が枝先に多数集まって開き、雄しべが花冠より飛び出す。シナツクバネウツギA. chinensis R.Br.と、中国南部の福建省に分布する常緑低木のA. uniflora R.Br.とからできた園芸雑種で、1880年以前につくられ、日本には1919年(大正8)ごろに渡来。スイカズラ科の半常緑低木で高さ1~2メートルの株立ちになる。葉は対生し、卵形で長さ2.5~4センチメートル、先は鈍くとがり、縁に鈍い鋸歯(きょし)がある。表面は光沢があり、裏面は淡色で中脈には毛がある。小枝の先に円錐(えんすい)形の花序をつけ、7月から11月ごろまで淡桃白色の花が咲き続ける。花は釣鐘(つりがね)状で長さ約2.5センチメートル、先は5裂して開き、萼片(がくへん)は2~5枚あり紅褐色を帯びる。雄しべは4本で花冠より短く、雌しべは1本あるが果実はできない。

 ハナツクバネは、関東地方以南の日当りのよい適湿の肥沃(ひよく)地でよく育つが、とくに土地は選ばない。病虫害はほとんどなく、成長が速く剪定(せんてい)に耐え、都市の公害にも強く、花期が長いので、公園や庭園に広く栽培されている。繁殖は挿木が容易で、株分けもできる。

小林義雄 2021年12月14日]

種類

アベリア(ツクバネウツギ)属は東アジアとメキシコに約20種が分布している。日本にはツクバネウツギ、オオツクバネウツギ(メツクバネウツギ)、コツクバネウツギタイワンツクバネウツギの4種とその変品種が分布。ツクバネウツギは関東地方以南の本州、四国、九州の山地に生える落葉低木で、5月に黄白色の花を開く。オオツクバネウツギはツクバネウツギとよく似ているが、5枚ある萼片のうち1枚が小さく、コツクバネウツギは萼片が2~3枚である。

[小林義雄 2021年12月14日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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