改訂新版 世界大百科事典 「テンノウメ」の意味・わかりやすい解説
テンノウメ
Osteomeles anthyllidifolia (Smith) Lindl.
暖かい地方の海岸に生えるバラ科の常緑小低木。幹は灰黒色になり,ややつる状に伸びる。葉は互生し,羽状複葉。小葉は9~15対,卵状長楕円形で長さ0.5~1cm,質は堅く,表面には光沢がある。花は春咲くが,冬から見られることもあり,枝先に2~4個つく。花冠は径約1cm,花弁は5枚で倒卵形,白色,おしべは20~25本。果実は球形で,紫黒色に熟する。南西諸島に生じ,太平洋諸島の亜熱帯から熱帯にかなりひろく分布している。岩上とくに隆起サンゴ礁の上に,よく見かける。しばしば鉢などに栽培され,観賞される。テンノウメは,ウメに似た花を,天の星に見たてたものといわれる。ユキノシタ科のヤシャビシャクも,テンノウメとかテンバイとよばれることがある。
執筆者:山中 二男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報