テンノウメ(読み)てんのうめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テンノウメ」の意味・わかりやすい解説

テンノウメ
てんのうめ / 天梅
[学] Osteomeles anthyllidifolia (Smith) Lindl.

バラ科(APG分類:バラ科)の常緑小低木。海岸の石灰岩上に生え、高さ20センチメートル以下。葉がサンショウに似るのでイソザンショウの名もある。茎は伏し、つる状になって隆起し、サンゴ礁上にマット状の群落をつくる。葉は互生し、奇数羽状複葉。小葉は9~17枚で楕円(だえん)形または倒卵状長楕円形、長さ4~9ミリメートル、全縁で光沢がある。葉柄はなく、葉軸に狭い翼がある。散房花序を頂生し、少数の白色花を開く。花茎1センチメートル、花弁は5枚。果実は球形で径約5ミリメートル、熟すと黒または紫黒色になる。小笠原(おがさわら)諸島、屋久島(やくしま)以西、および中国大陸南部、台湾の蘭嶼(らんしょ)、ハワイに分布する。盆栽にする。

[島袋敬一 2020年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テンノウメ」の意味・わかりやすい解説

テンノウメ(天の梅)
テンノウメ
Osteomeles subrotunda

バラ科の常緑小低木。琉球列島の海岸の岩上にはうように生える。主幹は横にはい,まばらに分枝して枝は短く直立する。葉は互生する羽状複葉で,全体は長さ3~4cmで7~8対の小葉が並ぶ。若枝と葉には白く硬い毛が密生する。春に,枝の頂に小さな散房花序をつくって,ウメ (梅)に似た5弁の小白花を咲かせる。おしべは多数。花の径は 1cm弱であるが,地表近くに多数の花が散開して美しい。しばしば盆栽用に栽培される。小笠原諸島には同属の近縁種タチテンノウメ O.boninensisとシラゲテンノウメ O.lanataがある。

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