デアミーチス(英語表記)Edmondo De Amicis

精選版 日本国語大辞典 「デアミーチス」の意味・読み・例文・類語

デ‐アミーチス

  1. ( Edmondo De Amicis エドモンド━ ) イタリア小説家少年の目からみた日常生活を描いた小説クオレ」で知られる。(一八四六‐一九〇八

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改訂新版 世界大百科事典 「デアミーチス」の意味・わかりやすい解説

デ・アミーチス
Edmondo De Amicis
生没年:1846-1908

イタリアの作家。若くして軍人となり,1866年の独立戦争に加わる。《軍国イタリア》誌編集長となり,《軍隊生活》(1868)の成功を機に作家の道に転進,70年代にヨーロッパ各国への旅行記を次々と刊行した。次いで《友達》(1883)および《クオーレ》(1886)を刊行。善と悪,強者と弱者のあまりに類型的な書き分け,祖国と軍隊への手放しの賛美など,独立,国家統一を達成してまだ日の浅いイタリア社会の支配的なイデオロギーをなんの批判もなく打ち出すという問題点をはらみながら,《クオーレ》は世界中で人気を博した。さらにイタリア人移民や教育問題をテーマに扱ったものや,苦しみにひしがれた人間群像を描く《万人の馬車》(1899)などを発表し,晩年には社会主義に接近した。軍人・愛国者,人道的作家・社会主義者と,デ・アミーチスのたどった道程は,19世紀イタリアの知的進路の縮図であったといえる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「デアミーチス」の意味・わかりやすい解説

デ・アミーチス
であみーちす
Edmondo De Amicis
(1846―1908)

イタリアの小説家。リグリア州オネリア(現インペリア)生まれ。14歳でガリバルディの義勇隊に加わろうとして果たせず、職業軍人となり、1866年のプロイセン・オーストリア戦争(クストーザの戦い)に出る。また16歳でマンゾーニに自作の詩を送った文学少年であり、処女作『軍隊生活』(1868)の成功を機に軍籍を去り、統一イタリアの首都フィレンツェで文学に専念、『ナツィオーネ』誌を編集した。1874年以降移り住んだトリノの革新的な文学風土、数度の海外旅行などが民衆や年少者、社会主義に対する目を開かせた。自伝的要素、訓話寓話(ぐうわ)などを用いた大衆的な手法、マンゾーニに倣った平易な文体などにより、当時もっとも読まれた作家の1人である。代表作『クオレ』(1886)のほかに、移民問題を扱った『洋上にて』(1889)、教育問題に取り組んだ『ある教師の物語』(1890)のほかに、多くの旅行記、評論集などがある。

[望月紀子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デアミーチス」の意味・わかりやすい解説

デ・アミーチス
De Amicis, Edmondo

[生]1846.10.31. オネリア
[没]1908.3.12. ボルディゲーラ
イタリアの小説家,児童文学者。リソルジメント (国家統一運動) 後期の代表的作家。陸軍士官として 1866年の独立戦争に参加,雑誌『イタリア陸軍』を編集した。同誌に発表した作品をまとめた『軍隊生活』 La vita militare (1868) ,紀行『ロンドンの思い出』 Ricordi di Londra (74) のほか,児童文学の傑作『クオレ』 Cuore (86) がある。

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百科事典マイペディア 「デアミーチス」の意味・わかりやすい解説

デ・アミーチス

イタリアの文学者,ジャーナリスト。軍隊生活の体験をつづった作品,紀行文などを書いたが,児童文学作品《クオーレ》で広く知られる。細かな観察から有機的な全体を作りだす構想力に欠け,そのため作品は日記・日誌形式をとることが多かった。

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世界大百科事典(旧版)内のデアミーチスの言及

【クオーレ】より

…イタリアの作家デ・アミーチスの1886年の作。小学校4年生エンリーコの日記に家族からの手紙,月例講話を加えた形で,統一国家完成直後のイタリアの小学生の日常生活を通じ,祖国愛を訴えるほか,友情,同情心,義務,勇気など,人間として持つべき美徳を感動的なエピソードをつらねて語っている。…

【児童文学】より

…プロイスラーO.Preussler,クリュスJ.Krüssがさまざまの形式に挑み,エンデM.EndeやツィムニクR.Zimnikは現代の寓話を書き,ヘルトリングP.Härtlingが実験的な作品を書いている。
[イタリア]
 イタリアはE.デ・アミーチスの《クオーレ》(1886)とコロディC.Collodiの《ピノキオ》(1880)によって新風をおくったが,ヌッチョE.Nuccioのするどい童話と,ロダーリG.Rodariの《チポリノの冒険》(1951)もめだっている。イタリアの民話を集大成して児童文学に接近したI.カルビーノの《マルコバルドさんの四季》(1963)も見逃せない。…

※「デアミーチス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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