日本大百科全書(ニッポニカ) 「デ・アミーチス」の意味・わかりやすい解説
デ・アミーチス
であみーちす
Edmondo De Amicis
(1846―1908)
イタリアの小説家。リグリア州オネリア(現インペリア)生まれ。14歳でガリバルディの義勇隊に加わろうとして果たせず、職業軍人となり、1866年のプロイセン・オーストリア戦争(クストーザの戦い)に出る。また16歳でマンゾーニに自作の詩を送った文学少年であり、処女作『軍隊生活』(1868)の成功を機に軍籍を去り、統一イタリアの首都フィレンツェで文学に専念、『ナツィオーネ』誌を編集した。1874年以降移り住んだトリノの革新的な文学風土、数度の海外旅行などが民衆や年少者、社会主義に対する目を開かせた。自伝的要素、訓話、寓話(ぐうわ)などを用いた大衆的な手法、マンゾーニに倣った平易な文体などにより、当時もっとも読まれた作家の1人である。代表作『クオレ』(1886)のほかに、移民問題を扱った『洋上にて』(1889)、教育問題に取り組んだ『ある教師の物語』(1890)のほかに、多くの旅行記、評論集などがある。
[望月紀子]