日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディスカス」の意味・わかりやすい解説
ディスカス
でぃすかす
discus
硬骨魚綱スズキ目カワスズメ科シンフィソドン属Symphisodonの熱帯性淡水魚。アマゾン川流域に広く分布し、2種5亜種が含まれる。全長15~20センチメートル。体は強く側扁(そくへん)し体高が高く、ほとんど円形である。川の本流よりも流れのほとんどない支流で、水草の繁茂した所や水中の倒木の周りの弱酸性の軟水にすむ。このような所はミズカビや細菌が非常に少ない。
観賞魚として広く飼育され、シンフィソドン・ディスカスSymphisodon discusとアエキファシアータスS. aequifasciatusの原種のうち、とくに後者から数多くの美しい改良品種がつくられ、ブルーとラインの美しいものが求められ、レッドロイヤルブルーディスカス、ドイツターコイズディスカス、ワットレイターコイズディスカスなどがいる。
飼育は、原種とドイツでつくられたドイツターコイズディスカスでは、アマゾン川の水に近い水温25~28℃の弱酸性の軟水がよく、東南アジアでつくられたレッドロイヤルブルーディスカスでは水温28~33℃の弱アルカリ性の水がよい。水の硬度が高すぎる場合にはイオン交換樹脂によって硬度を下げる。亜硝酸塩の濃度があがるのに弱く、十分に濾過(ろか)をして定期的に水換えをする必要がある。餌(えさ)は、アカムシ、ボウフラ、ウシの心臓をすりつぶしたものがよい。産卵させるには、産卵用のつがいを産卵用水槽に移し、塩化ビニルのパイプや流木を入れておくと、その上に付着卵を産む。卵は100~200個で2、3日で孵化(ふか)する。4、5日で遊泳を開始し、親の体表に付着して皮膚から分泌されるミルク状の粘液を食って成長する。
[中坊徹次]