デスマン(読み)ですまん(英語表記)desman

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デスマン」の意味・わかりやすい解説

デスマン
ですまん
desman

哺乳(ほにゅう)綱食虫目モグラ科のなかで水生適応した2種の動物の総称。ロシア南東部にいるロシアデスマンDesmana moschataは頭胴長18~22センチメートルで、ほぼ同長の尾は全長にわたり上下に扁平(へんぺい)になっている。ピレネー地方にいるピレネーデスマンGalemys pyrenaicusは頭胴長11~14センチメートル、尾長13~16センチメートルで、尾は先端部のみが上下に扁平である。両種とも水生適応のため足は幅広く、水かきがある。吻(ふん)は長く扁平、目は小さく、耳介を欠く。毛は柔らかく、密生する。歯式は

で合計44本。川や湖などの水辺にすみ、巣は土中水面より高い位置に、出口は水面下につくり、1産1~5子を産む。昆虫ミミズヒル、貝、小魚などを食べ、日本のカワネズミに似た生活をする。ロシアデスマンの毛皮は良質なため利用される。

阿部 永]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例