日本大百科全書(ニッポニカ) 「デーリ」の意味・わかりやすい解説
デーリ
でーり
Déry Tibor
(1894―1977)
ハンガリーの小説家。富裕なユダヤ人の家に生まれる。知識人グループを現代的心理で分析した長編『未完の言葉』(1947)により注目された。続編『答え』(1950~52)では、1930年代の労働者蜂起(ほうき)を扱っている。進歩的知識人として政治活動にもかかわり、亡命、投獄を経験。第二次世界大戦後は、再三、共産党の教条主義と対立し、ハンガリー事件の際には、党批判の中編『ニキ』(1956)が原因で、3年の刑に服した。その後、スターリンを模した長編『破門宣告者』(1965)がある。晩年もその筆力は衰えず、自伝的作品『判決なし』(1969)や、特異なジャンルの中編『アメリカのポップフェスティバルについての想像的ルポ』(1971)などを発表した。
[岩崎悦子]