フランス南西部の川。全長約575kmでフランス第4位。流域面積は約5万6000km2でロアール川の約半分に達する。スペイン領ピレネー山脈のマラデッタ山に源を発し,トゥールーズまで北東に流れてから北西に転じ,アキテーヌ盆地を貫流してボルドー付近でジロンド川に注ぎ,ビスケー湾に流出する。東側のマシフ・サントラルからはタルン川,ロト川,ドルドーニュ川など多くの支流が流入し,アリエージュ川,ネスト川などの支流はピレネー山脈中部の広大な地域の水を集めている。このため流量ではセーヌ川を上回り,融雪期と冬期の流量変化が著しい。ボルドー上流のカステからトゥールーズまで本流と並行して走るガロンヌ運河は,本流の水量調節の役割を果たす。外国航路船はボルドーまで遡行し,ガロンヌ運河とトゥールーズからのミディ運河は大西洋と地中海を結ぶ。長さ75km,最大幅11kmのジロンド川はフランス最大のエスチュアリー(湾状の河口)である。
執筆者:小野 有五
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランス南西部の川。全長575キロメートル、下流のジロンド川と称される部分を入れると650キロメートルになる。流域面積は約5万6000平方キロメートルで、アキテーヌ盆地の大部分を占める。中部ピレネー、スペイン領内に位置するマラデッタ山麓(さんろく)の標高1870メートルの地点に発し、北流してポン・デュ・ロワ峡谷の標高575メートル付近でフランスに入り、モントレジョーから東北流して標高150メートルのトゥールーズに至る。ここから西北流してモワサック、アジャンを経て、ボルドーの下流でドルドーニュ川と合流、ジロンド川と名を変えて細長い三角江(エスチュエール)を流れ、大西洋に流入する。トゥールーズからアジャンまでは右岸を、アジャンからランゴンの上流までは左岸を、並行してガロンヌ運河が走っている。本流の流量は季節変化が大きいため、ボルドーより下流を除いてほとんど水運に利用されることはない。下流の平野にはブドウ園が多く、ボルドー・ワインの名産地である。
[高橋 正]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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