改訂新版 世界大百科事典 「トサカノリ」の意味・わかりやすい解説
トサカノリ
Meristotheca papulosa (Mont.) J.Ag.
ニワトリのとさかを思わせる紅色,肉質の美しい紅藻で,日本では関東地方以南の太平洋沿岸および九州西岸の低潮線下よりやや深いところの海底に生育する。体は厚みのある膜質で,不規則に叉(さ)状に分岐し全体は扇形となるが,側部より枝状突起を出し,また成熟すると半球状の囊果を縁辺に多数つけるので,体形は変化しやすい。大きさは10~30cmになる。海藻サラダなどの材料として市販されるトサカノリには紅色,緑色および無色の3種類があるが,いずれも同一種で,緑色のものは細胞内の紅色の色素フィコビリンが退色してクロロフィルの残っているもの,無色のものはクロロフィルも退色してしまったものである。台湾,ポリネシア,インド洋にも生育する。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報