トロヤ群(読み)トロヤグン(その他表記)Torojan group

デジタル大辞泉 「トロヤ群」の意味・読み・例文・類語

トロヤ‐ぐん【トロヤ群】

小惑星分類の一。ある惑星公転軌道上にあり、太陽と惑星を結ぶ線に対して60度離れた位置に分布するもの。ふつう木星の公転軌道上の小惑星を指し、木星のトロヤ群ともいう。天体力学的に安定ラグランジュ点のL4とL5付近として知られる。

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精選版 日本国語大辞典 「トロヤ群」の意味・読み・例文・類語

トロヤ‐ぐん【トロヤ群】

  1. 〘 名詞 〙 木星とほぼ等しい公転周期をもち、つねに太陽・木星と正三角形を形成する位置にある小惑星群。公転する木星の前後一群ずつあり、各小惑星にはトロイ戦争の勇士たちの名がつけられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トロヤ群」の意味・わかりやすい解説

トロヤ群
とろやぐん
Torojan group

小惑星群の名。木星軌道上で木星と太陽を結ぶ線に対し60度離れた位置は、木星の平均運動と一対一の尽数(じんすう)関係にあり、天体力学的に安定な軌道であることが知られている(ラグランジュ点という)。そこに番号のついた小惑星が少なくとも22個存在する(小さいものまで含めれば何百という小惑星が存在すると考えられる)。それらの小惑星のことをトロヤ群小惑星という。木星の進行方向に対し前方の位置には後方に比べ3倍も多くの小惑星が存在するが、その理由はよくわかっていない。大きな小惑星は前方に多い。これらの小惑星はラグランジュ点に密集しているわけではなく、その前後に振動しており、なかには20度も振動するものがある。トロヤ群中、最大の小惑星は624番ヘクターで、小惑星全体では21番目に大きく、その形はもっともいびつで、150キロ×300キロメートルである。

松井孝典

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トロヤ群」の意味・わかりやすい解説

トロヤ群
トロヤぐん
Trojan group

惑星と同じ軌道を公転する一群の小惑星。太陽からみて,惑星の 60°前方および 60°後方の,ラグランジュの重力平衡点に群がっており,太陽,惑星と正三角形をなす位置にある。三体問題の特殊な場合として説明される。1906年,太陽からみて木星の 60°前方のラグランジュ点 L4で,最初のトロヤ群小惑星アキレスが発見された。木星のトロヤ群小惑星は 1万個以上発見されており,アキレスのほかにパトロクルス,ヘクターなどがある。トロヤ群小惑星は木星の公転軌道上で最も多く発見されているが,地球火星天王星海王星の公転軌道上にも存在が確認されている。

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