翻訳|dresser
陶器や銀製の皿類を展示するための棚と引出しを備えた食器棚。その起源は古く,中世の封建領主の城館の大広間に設置された展示用の食器棚に始まる。初期のものは簡素な台の上に開放の棚を数段設けた形式のもので,棚板の数はそれを所有する者の社会的地位の高低に応じて増減するのがならわしであった。たとえば,イギリスのヘンリー7世がリッチモンド宮殿の大広間で催した饗宴では,9段から10段の棚を備えた食器棚が設置されたと記録されている。フランスではこのような装飾用の棚をドレッソアールdressoirとよび,やはり高価な陶器類を展示して来客に豊かな財宝を誇示するための飾棚の役目を果たした。15世紀末には教会の祭礼に使う聖器類を収納する祭器台の形式を取り入れて,下部は引出し付きのスタンド,上部は展示用の棚とする構成になった。17世紀になると,サイドボードと同一の形態をとるものもみられた。17世紀後期には衣類を収納する低い整理簞笥(たんす)とその甲板に化粧鏡を取り付けた化粧簞笥もドレッサーとよばれるようになり,バロック時代の寝室に設置する化粧用の重要な家具となった。
執筆者:鍵和田 務
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
…身分のある者の寝台は織物の天蓋(てんがい)や垂幕でおおわれたが,そのものものしさから解放されて単純化されたのが近代の寝台である。このほか金銀の食器をならべて室内の装飾とする風習があって,そのための棚としてドレッサーまたはビュッフェがあった。イスラム教徒の室にはサンドゥクという木製の美しい櫃があり,衣服やその他のものを入れておく。…
※「ドレッサー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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