ド・ロルム(読み)どろるむ(英語表記)Philibert Delorme (de l'Orme)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ド・ロルム」の意味・わかりやすい解説

ド・ロルム
De l'Orme(Delorme), Philibert

[生]1510頃.リヨン
[没]1570.1.8. パリ
フランス・ルネサンスの代表的建築家,建築理論家。 1533~40年代ローマに留学したのちパリに定住枢機卿 J.ベレの保護を受け,パリ郊外にサン・モールの城館 (1541頃~63) を建設。国王アンリ2世の建築家としてサン・ドニ修道院フランソア1世墓廟を設計 (47) ,アネの城館 (47起工) や,フォンテンブロー宮を増築 (48~59) ,王の死後,カトリーヌ・ド・メディシスの命を受けて,チュイルリー宮殿を造営 (64) 。古典主義建築の確立に寄与した。著書に『よい建物を少額で建てるための新工夫』 Nouvelles Inventions pour bien bastir et à petits fraiz(61),『建築の最良の書』 Le Primier Tome de l'architecture de Philibert de L'Orme(68)がある。

ドロルム
Delolme, Jean Louis

[生]1740. ジュネーブ
[没]1806.7.16. セーウェン
スイスの憲法学者。イギリスに亡命中,『イギリス憲法論』 Constitution de Angliterre (1771) を著わし,イギリス憲法の特徴を初めて体系的に解明したことで知られる。イギリスの憲法と政治機構は抽象的理性産物ではなく経験の結果得られた教訓に基づくものであり,人間権力欲抑制均衡システムを通じて緩和することによって運用されていると論じた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ド・ロルム」の意味・わかりやすい解説

ドロルム
どろるむ
Philibert Delorme (de l'Orme)
(1515ころ―1570)

フランス・ルネサンスの建築家。リヨンの建築職人の家に生まれる。1533~36年にローマに滞在して古代建築やイタリア・ルネサンスの建築を学ぶ。帰国後はアンリ2世に認められ王室建築総監となり、サン・ドニ聖堂のフランソア1世廟(びょう)(1547)、アネの城館(1552~59)などを設計。王の死後一時失脚した時期に、『実用新住宅建築構造』(1561)、『建築概論』(1567、第一巻のみ)の二著を執筆したが、これらはフランスにおける最初の建築理論書として同時代および後世のフランス建築界に多大の影響を与えた。晩年にはカトリーヌ・ド・メディシスのためにチュイルリー宮の設計を行った(死後完成したが現在は破壊)。パリで没。

[篠塚二三男]

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