ロシア連邦の沿海州,アメリカ湾に臨む港湾都市。極東地方における漁業中心地の一つで,シベリア鉄道支線の起点でもある。人口17万3522(2004)。1万トン級の船舶の横付け可能な水深をもつ天然の良港で,市名はロシア語で〈掘出物〉の意。第2次世界大戦中に同盟国アメリカからの軍需物資を陸揚げする必要に迫られ,急きょ開港した。船舶修理工場,ブリキ缶工場,漁業コンビナートのほか,近くのチャダウジChadaudzh湾にロシア領極東地方最大の製油所があり,市内には航海学校,映画技術学校もある。ナホトカ港の入江は幅1.8km,奥行き4.6kmで,大部分が冬季は凍結する。1934年に築港工事に着手したが,第2次世界大戦で工事を中断,44年の後半から再開し,58年までに12ヵ所に係船場ができた。東方14kmにあるウランゲリVrangel'の港湾設備は日本企業との共同工事によって建設されたものである。サンクト・ペテルブルグとともに,日本の総領事館が置かれている。
執筆者:山本 敏
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ロシア連邦東部、沿海地方の港市。日本海に向かって開くアメリカ湾の湾奥北西部にある支湾ナホトカ湾に位置する。人口15万9800(1999)。波静かな不凍港を有し、シベリア鉄道の支線の終点となっている。港はロシア連邦極東の重要な国際港であり、漁業根拠地でもある。船舶修理、ブリキ缶、漁業コンビナート、鉄筋コンクリート建材などの工業がある。19世紀なかば過ぎにロシアの軍艦アメリカ号が偶然「発見」して命名したのがアメリカ湾で、ナホトカとは「みつけもの」の意(ナホトカ湾は1859年に「発見」)。1944年から港湾建設が始められ、50年には市となり発展したが、貨物の受入れ能力が限界に達したので、同じアメリカ湾内の東方18キロメートルにあるウランゲル湾に、ロシア連邦極東で最大となる新しいボストーチヌイ(東方)港を建設した。ナホトカには日本人墓地があり、1967~93の間日本総領事館が開設されていた。また、京都府舞鶴(まいづる)市、北海道小樽(おたる)市と姉妹都市の関係にある。
[三上正利]
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