ニューカッスル病(読み)にゅーかっするびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニューカッスル病」の意味・わかりやすい解説

ニューカッスル病
にゅーかっするびょう

ウイルスに起因する急性伝染性疾患で、おもに鳥類がかかる。家畜伝染病に指定され、ニワトリアヒルシチメンチョウウズラキジなどが高い感受性を有する。まれに人間にも感染し、結膜炎などを起こすことがある。養鶏業界ではもっとも恐れられている伝染病で、発生時には、家畜伝染病予防法に基づき、殺処分するものとして指定されている。

 日本では、1954年(昭和29)、1965~1967年に病原性の強い大流行があった。潜伏期は2~3日と短く、発病すると鶏体から多量のウイルスが排出される。感染すると沈うつ、開口呼吸となり、食欲を失い、緑色下痢便をする。体温は43℃ぐらいまで上昇する。顔面が腫(は)れ上がることもある。眠るような状態に陥って死亡する。軽症では、沈うつ、呼吸困難、下痢を呈するが軽く、死亡することはない。予防法としてはワクチン接種を厳守することで、数年間発生がないからといって、これを怠ると大発生に至ることがある。治療法はない。なおニューカッスル病の名は、1926年にインドネシアと並んで本病が流行したイギリスのニューカッスル・アポン・タインにちなむ。

[本好茂一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニューカッスル病」の意味・わかりやすい解説

ニューカッスル病
ニューカッスルびょう
Newcastle disease

家禽のウイルス性伝染病。気管支炎肺炎,下痢などの症状を示す。イギリスのニューカッスル地方で流行,記載されたので,この名がある。家畜法定伝染病なので,病気発生の場合,飼い主は届け出義務のほか,規定された処置をすみやかに行なわなければならない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報