ネット依存
インターネット やオンラインゲーム 、会員制交流サイト(SNS )などの使用に自制心が利きにくくなり、日常生活に支障 が出た状態。暴力 や引きこもり、うつ病 などの合併症 や脳の障害 を引き起こす恐れもある。8月末の厚生労働省研究班の発表では、中高生全体(約650万人)の7人に1人が病的なネット依存 の疑いと推計 された。その“予備軍 ”を含めると5人に2人に上るとの推計もある。依存の比率 は男子 より女子 の方が高いが、症状 が深刻化しやすいオンラインゲームの利用では男子の方が高かった。
更新日:2018年9月21日
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説 共同通信ニュース用語解説について 情報
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ネット依存 ねっといぞん internet addiction
インターネット(スマートフォンを含む)の使用を自分の意志 でコントロールできない状態のこと。インターネット依存症 の略で、インターネット中毒 やネット中毒、ケータイ依存 、スマホ依存などもほぼ同義である。チャット 、掲示板 、オンラインゲーム、ソーシャルメディア などの浸透 やスマートフォンの急速な普及 によって利便性が向上する一方 、インターネットの長時間利用が実生活に支障をきたしている。2013年の段階で世界的に認定されたネット依存の診断基準はない。また、ネット依存傾向がみられることが、そのまま病的な精神疾患 や行為嗜癖(しへき)などとして治療が必要な状態とは、かならずしも判断できない。専門家による治療が必要かどうかは、本人がインターネット利用を優先することによって、自身の生活時間をコントロールできなくなると同時に、インターネットや携帯情報端末を取り上げた際にパニック になったり、何とかして情報端末に触れようと探索行動 をはじめたりするような症状があるかどうかが判断の目安 になる。
ネット依存という概念 は1990年代にアメリカで提起され、1998年にアメリカの臨床心理学者ヤングKimberly S. Youngが『インターネット中毒』Caught In The Net を刊行し、このなかで強迫性ギャンブル依存症の診断基準を参考に、ネット依存についての診断基準を示した。総務省が2013年(平成25)6月に発表した「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査」でも、この診断基準が採用され、たとえば「気がつくと、思っていたより長い時間ネットをしていることがあるか」「ネットを長く利用していたために、家庭での役割や家事(炊事、掃除、洗濯など)をおろそかにすることがあるか」などの20項目の質問に対する回答に基いて、依存の度合いが計測された。
なお、同調査は小学4年生から25歳の社会人まで約2600人に対するオンラインアンケートで、「自分はネット依存だと思う」と回答した人の割合は28.0%、「ネットを利用するために犠牲にしている時間がある」(同57.2%)、短くなったのは「睡眠時間」(同37.1%)、「勉強の時間」(同31.9%)という結果であった。また、厚生労働省研究班が2013年に全国10万人の中学・高校生を対象にした調査結果によれば、ネット依存傾向を示す生徒が8.1%に上ったことから、全国では51万人以上の中学・高校生がネット依存であると考えられる。また、2008年度に同省が実施した20歳以上の男女7500人を対象とした同様の調査から、成人だけで全国に約270万人以上、依存傾向を示す人がいると推計されている。
[編集部]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) 日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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