ハイデルベルク人(読み)はいでるべるくじん(英語表記)Heidelberg man

翻訳|Heidelberg man

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイデルベルク人」の意味・わかりやすい解説

ハイデルベルク人
はいでるべるくじん
Heidelberg man

ヨーロッパ出土の化石人類。1907年、ドイツのハイデルベルク市の近郊の小村マウエルから1個の完全な下顎(かがく)骨が石切り工によって発掘された。ただちに地主を通じてハイデルベルク大学の地質学教授シェッテンザックに引き渡された。伴出する哺乳(ほにゅう)類化石から更新世(洪積世中期ミンデル氷期の亜間氷期らしいとみなされたが、文化遺物は伴わなかった。非常に大型で頑丈であり、新人にみられるような顎先の前突すなわち頤(おとがい)はなく、下顎枝は幅広く、下顎切痕(せっこん)は浅いという原始的特徴をもっていたが、歯はネアンデルタール人とそれほど違わなかった。永年、比較できる資料が発見されなかったため、所属不明とみられていたが、今日では同類のものがかなり発見されており、ヨーロッパにおける原人とみなされている。マウエルの下顎骨ともよばれる。

[香原志勢]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイデルベルク人」の意味・わかりやすい解説

ハイデルベルク人
ハイデルベルクじん
Heidelberg man

1907年にドイツ,ハイデルベルク南東のマウエルの砂掘り穴から化石が見つかった原人。学名ホモ・エレクトゥス・ハイデルベルゲンシス Homo erectus heidelbergensisという。約 50万年前の中期更新世のものと考えられる。 16本の歯をそなえた下顎骨で,完全に保存されていたが,4本の歯冠はこわれ,2本は 45年に紛失した。下顎枝は発達し,幅が広く,骨体も厚く大きいが,歯は現在の人類と比較してあまり大きくない。アジアシナントロプスとほぼ同時代の,ヨーロッパの原人を代表する化石の一つである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android