ハイパーテキスト(読み)はいぱーてきすと(英語表記)hypertext

翻訳|hypertext

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハイパーテキスト」の意味・わかりやすい解説

ハイパーテキスト
はいぱーてきすと
hypertext

印刷術および書物というメディアの形態においては、言語テキストは直線的に進行する流れをモデルとして考えられてきた。だが精神分析その他が明らかにしたように、われわれの心のなかでは言語は連想の多次元的なネットワークとして存在している。もちろん書物においても、索引や注によって、知識がたがいに関連しあうような工夫はなされてきた。だが書物という物理的な条件が、そうした関連の可能性に基本的な量的制限を課してきたのである。コンピュータによって扱われる電子的テキストは、そうした制限から解放されており、したがって情報間の多方向的な結びつきを即座に実現することができる。言語情報の形態をそうしたしかたでとらえるのがハイパーテキストというモデルである。具体的な実現例としては、たとえばマッキントッシュ用のソフトとして早くから使われてきた「ハイパーカード」などがある。インターネットのいわゆるホームページは、HTMLという言語で書かれたハイパーテキストである。

吉岡 洋]

 ハイパーテキストのもう一つの特徴に、ハイパーリンクがある。任意の文字や画像などに関連付けを行うことで、他の情報を表示することができる。単にリンクともいう。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイパーテキスト」の意味・わかりやすい解説

ハイパーテキスト
hypertext

コンピュータ上で実現される,関連する情報と情報とを相互につなぐデータ構造文書などデータの一部につけられたハイパーリンク(任意の位置情報)から,ほかのデータ内に指定されたハイパーリンクへ容易にアクセスできるというリンク機能を備えており,複数のデータを結ぶことや,文字のほか静止画や音声などの情報を埋め込むこともできる。構想は 1940年代からあったが,実際に研究や設計を行なったのは 1960年代のアメリカ合衆国テッド・ネルソンらで,ソフトウェアとして普及したのは 1980年代以降である。製品例としてはアップルハイパーカードなどがあるが,インターネットワールド・ワイド・ウェブ WWWHTMLもこの機能を実現している。ハイパーリンクの設定の仕方や利用者の使い方によって多様な情報の関係づけが可能となり,情報の新しい扱い方が生まれたといえる。

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