ハチクイモドキ(英語表記)motmot

改訂新版 世界大百科事典 「ハチクイモドキ」の意味・わかりやすい解説

ハチクイモドキ
motmot

ブッポウソウ目ハチクイモドキ科Momotidaeの鳥の総称。この科は6属8種からなり,旧世界に分布しているハチクイ科に相当する新世界グループで,メキシコからアルゼンチン北部まで分布する。形態もハチクイ科に似たところが多い。全長15~50cm。大部分の種は黄色,褐色,青色緑色紫色などの色をとりまぜた鮮やかな色彩である。尾は一般に長く,とくに中央の2枚の尾羽が長く,先端部がラケット状の飾羽となっているものがある。くちばしはじょうぶで,幅が広くて,少し下方に曲がり,くちばしの縁に鋸歯状の小さな切込みがある。他のブッポウソウ目の鳥と同様に脚は短く,第3趾(し)と第4趾の基部は癒着している。

 森林や林縁部にすみ,群れになることはなく,たいがい1羽かつがいで生活している。鳴声は,フーフープープーと聞こえ,しばしば1羽が鳴くと別の鳥がそれに答える。獲物は見張場で待ちうけ,近くに飛んでくる大型の昆虫を飛び立ってとったり,あるいは飛び回って昆虫をつかまえる。ときには地上におりて,小型のトカゲや小動物などをとることもある。ハチクイ科やカワセミ科の鳥と同様に,土の崖に1.5~6mのトンネルを掘ってその奥に巣をつくり,1腹3~4個の卵を産む。抱卵育雛(いくすう)は雌雄交替でする。雛が巣にいる間は両親も巣で眠る。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハチクイモドキ」の意味・わかりやすい解説

ハチクイモドキ
Momotus momota; Amazonian motmot

ブッポウソウ目ハチクイモドキ科。全長 38~48cm。頭頂は中央が黒く周囲を明るい青色が囲むが,中央も青色の亜種がいる。背は緑色で,尾羽の先に向かってしだいに緑色になる。下面は赤褐色か緑色で,これも亜種によって変化する。は幅広くて長く,下方にわずかに湾曲する。尾羽は長く,中央 2枚がさらに長く伸び,先端近くで羽軸だけになり,その先に羽(羽弁)がついてラケット状になっている。眼はまわりを広く黒色部位が囲む。メキシコからアルゼンチン北部に分布し,熱帯雨林から果樹園までさまざまな森林に生息する。なお,ハチクイモドキ科 Momotidaeは全長 17~50cm,羽色は緑色,赤褐色などからなり,一般に美しい。中央アメリカ南アメリカ熱帯に 14種が分布し,ヒタキのように枝から飛び出して昆虫類や液果などをとって食べる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハチクイモドキ」の意味・わかりやすい解説

ハチクイモドキ
はちくいもどき / 蜂喰擬
motmot

広義には鳥綱ブッポウソウ目ハチクイモドキ科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Momotidaeの仲間は6属8種があり、中央・南アメリカの熱帯森林にすむ。全長17~50センチメートル、体は緑色、緑褐色、赤褐色などで美しく、嘴(くちばし)は太くてすこし下に曲がり、縁にはぎざぎざがある。第3、第4の足指が癒着している。中央尾羽は長く伸び、先端はラケット状になっている。餌(えさ)は昆虫、小形のトカゲ、果実などである。

 種のハチクイモドキMomotus momotaはメキシコからアルゼンチンにかけて熱帯の森林にすみ、全長約40センチメートル、頭部はコバルトと黒、襟と下面は黄褐色、背は緑で尾は青色である。土手や崖(がけ)に横穴を掘って巣とする。

[高野伸二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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