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北西航路 ほくせいこうろNorthwest Passage

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

北西航路
ほくせいこうろ
Northwest Passage

北アメリカ大陸の北方を通る歴史的な航路大西洋からカナダの北極諸島を経由して太平洋へいたる。世界で最も過酷な海の難所の一つで,北極圏の北 800km,北極から 2000km以内の場所を通過する。カナダのバフィン島北部からアラスカ半島北岸のボーフォート海まで,東西約 1450kmの海に点在する北極諸島間の深い海峡をいくつも通る。大西洋から航路に入る際には,グリーンランドバフィン島の間から絶えず南へと漂流してくる 5万個もの巨大な氷山の間を縫って進まなければならず,また太平洋への出口では,一年の大半を氷帽に覆われたアラスカ北岸の浅い海からベーリング海峡流氷が押し流されるため,きわめて危険な航海となる。15世紀末以降,ヨーロッパの探検家たちは北西に向かう通商路を開拓しようと試みてきた。しかしノルウェー人探検家ロアルド・アムンゼンがようやくボーフォート海までの航行に成功したのは 1905年のことで,横断を達成したのは 1906年になってからだった。北西航路に商用の定期航路が開かれることは,世界経済にとって大きな意義がある。たとえばロンドン―東京間の距離は,中東戦争によるスエズ運河の閉鎖(1967~75)で迂回を余儀なくされたアフリカ経由が 2万3600kmであるのに対し,北西航路をとれば 1万3000km以下にまで短縮できる。また,パナマ運河やスエズ運河を通航できない大型船も利用できる。1880年以降,北極諸島の領有権はカナダが有しているが,一部の国が航路の大部分は公海であると主張しており,カナダは汚染防止規制の遵守を条件に,航路の国際貿易への利用は歓迎すると表明している。(→北東航路

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百科事典マイペディアの解説

北西航路【ほくせいこうろ】

ヨーロッパから北西に航海し,アメリカ大陸の北を過ぎて太平洋,アジアに達する航路。いわゆる大航海時代以来,16世紀後半からこの航路開発のため多くの探検家たちが苦闘を重ねた。
→関連項目フロビッシャー北極地方

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世界大百科事典内の北西航路の言及

【アムンゼン】より

…1897年ベルギー探検船ベルギカ号に乗り組み南極海で初の越冬を果たした。1903年47トンの帆船ヨーア号で北磁極に到達,磁極の移動性を長期観測,そのまま太平洋へ抜け05年8月13日ヨーロッパ人300年間の夢だった北西航路樹立に成功した。北極点横断を志したがピアリーに先を越され南極点一番乗りを宣言した。…

【エスキモー】より

… ヨーロッパ人が最初(10世紀ごろ)に接触したのは,グリーンランドやラブラドルのエスキモーであった。その後,北西航路(ヨーロッパから北西に航海して,アメリカ大陸の北を経由し,太平洋,アジアに達する航路)の探索や科学的探検隊の派遣により,しだいにエスキモー文化が明らかにされた。一連の探検隊のなかで最も著名なのは,1920年代に派遣された第5次チューレ探検隊で,その中心になったのはグリーンランド出身のラスムッセンKnud Johan Victor Rasmussen(1879‐1933)であった。…

【北極】より

…とくに極地方では夏の間太陽が沈まないことから,北極の海はむしろ暖かいはずだとの俗信も生まれ,やがて二通りの航路が探られるようになった。北ヨーロッパから西航し北アメリカ北部の西半球を通る北西航路とシベリア北部を通る北東航路である。大西洋,インド洋を通るキタイへの航路はすでにスペイン,ポルトガルが独占していたので,イギリス,オランダ,ロシアは独自または共同で航路探査に当たった。…

※「北西航路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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